傷病手当金の完全ガイド|もらえる条件・金額・期間・申請方法まで解説
病気やケガで働けなくなったとき、収入面を支えてくれるのが傷病手当金です。
「自分はもらえる?」「いくら?」「いつまで?」「退職したらどうなる?」——調べるほど不安になりがちなこの制度を、条件・金額・期間・申請方法までまとめて解説します。
この記事は2026年6月時点の情報です。傷病手当金は加入している健康保険によって扱いが異なる場合があるため、最新・正確な内容は加入先(協会けんぽ・健康保険組合)でご確認ください。
もらえる人は?30秒セルフチェック

次に多く当てはまれば、傷病手当金の対象になる可能性があります。
- 健康保険(協会けんぽ・健保組合)に加入している
- 業務外の病気やケガで療養している
- 仕事ができない状態(労務不能)である
- 連続3日を含む4日以上、仕事を休んでいる
- 休んでいる間、給与が支払われない(または傷病手当金より少ない)
傷病手当金とは?

傷病手当金は、健康保険に加入している人が病気やケガで働けなくなり、給与を受け取れなくなった場合に支給される制度です。
収入が途絶えてしまう期間の生活を支えるために設けられています。特に、
- うつ病や適応障害
- 手術後の療養
- 入院治療
- 長期の自宅療養
などで仕事を休む場合に利用されることが多い制度です。
傷病手当金をもらえる条件

傷病手当金を受給するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
① 業務外の病気やケガである
対象となるのは、仕事以外が原因の病気やケガ です。例えば、うつ病・適応障害・がん・肺炎・骨折・ヘルニアなどが該当します。
② 仕事ができない状態である
医師の判断などにより、現在の仕事を行うことが難しい状態(労務不能)であることが必要です。「少し体調が悪い」程度ではなく、労務不能と判断されることが条件です。
③ 3日連続で休み、その後も休業している
傷病手当金には待期期間があります。まず3日間連続で仕事を休み、その後(4日目以降)も休業が続いた場合に支給対象となります。

待期期間のイメージ
- 1日目:休み
- 2日目:休み
- 3日目:休み(ここで待期完成)
- 4日目以降:支給対象
④ 給与が支払われていない、または少ない
休職中も会社から十分な給与が支払われている場合は対象外です。ただし、給与が傷病手当金より少ない場合は、差額が支給されることがあります。
⑤ 自宅療養でも対象になることがある
「入院していないともらえない」と思われがちですが、医師が療養を必要と判断していれば、自宅療養や通院治療でも対象になるケースがあります。
傷病手当金がもらえない人・対象外のケース

- 労災による病気やケガ:仕事中や通勤中の事故・ケガは、傷病手当金ではなく労災保険の対象
- 美容整形など治療目的でないもの:病気やケガと認められないものは対象外
- 仕事ができる状態:通常どおり働けるなら対象外
- 待期期間が完成していない:3日連続で休んでいない(例:2日休む→1日出勤→また休む、はリセット)
- 給与が十分支払われている
- 任意継続中に発症した病気やケガ:退職後に任意継続被保険者となった後で発症したものは、原則として新たに受給できない
いくらもらえる?(金額の計算)

傷病手当金の1日あたりの支給額は、ざっくり言うと 「毎月の給料の約3分の2」 です。
正確には、次の式で計算します。
支給開始日以前の継続した12か月間の「標準報酬月額」の平均 ÷ 30 × 3分の2
「標準報酬月額」とは?
健康保険の保険料や給付額を計算するために、毎月の給料(額面:基本給+残業代+通勤手当など)を、区切りのよい金額(等級)に当てはめたものです。
むずかしく聞こえますが、「だいたい毎月の額面給与に近い額」 と考えてOKです(賞与は含みません)。
月給30万円の場合の目安
標準報酬月額が30万円なら、
- 30万円 ÷ 30 = 1日あたり 1万円
- その3分の2 → 1日あたり約6,700円 が目安
※実際の額は標準報酬月額(等級)によって異なります。
どれくらいの期間もらえる?(通算1年6か月)

傷病手当金の支給期間は、支給開始日から通算して最長1年6か月です。
以前は「暦の上で1年6か月」でしたが、現在は実際に支給された日を通算して1年6か月に達するまで受け取れます。途中で復職して給与が出た期間は、日数にカウントされません。
申請方法・必要書類・期限

傷病手当金は、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)へ申請します。
- 書類:「健康保険傷病手当金支給申請書」
- 記入者:本人+会社(事業主)+医師(療養担当者)の3者が記入する欄があります
- 申請のタイミング:給与の締め日後など、一定期間ごとにまとめて申請するのが一般的(1か月ごとが多い)
- 時効:労務不能だった日ごとに2年で時効になります
申請から振込までは、おおむね1〜2か月程度かかります。医師や会社に記入してもらう欄があるため、早めに依頼しておくとスムーズです。
退職後も受給を続けるには(継続給付)

退職する場合でも、一定の条件を満たせば、退職後も傷病手当金を受け取り続けられます(資格喪失後の継続給付)。
主な条件は次のとおりです。
- 退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上ある
- 退職時に、傷病手当金を受けている、または受けられる状態(労務不能で待期完成済みなど)にある
注意したいのは、退職日に出勤してしまうと「労務不能」が途切れ、継続給付を受けられなくなることがある点です。退職日まわりの過ごし方は、事前に健康保険窓口へ確認しておくと安心です。
なお、体調が回復して働ける状態になったら、失業手当(基本手当)への切り替えも検討できます。すぐに働けない間は「受給期間の延長」も使えます。

判断に迷ったら確認したい4つのポイント

- ① 原因:仕事以外の病気やケガか
- ② 働けるか:現在の仕事ができない状態か
- ③ 待期:3日連続で休んでいるか
- ④ 給与:給与が支払われていないか、減額されているか
よくある質問

傷病手当金とは別に、有給も使えますか?
有給休暇を使った日は給与が出るため、その日は傷病手当金の対象外です。有給を使い切ってから傷病手当金に切り替える、という順番が一般的です。
うつ病・適応障害でももらえますか?
業務外の病気で、医師に労務不能と判断されていれば対象になり得ます。心の不調も身体の病気と同様に扱われます。
パート・アルバイトでももらえますか?
健康保険(協会けんぽ・健保組合)の被保険者であれば対象です。国民健康保険には原則として傷病手当金はありません。
申請してからどのくらいで振り込まれますか?
おおむね1〜2か月程度が目安です。医師・会社の記入が必要なため、早めの準備がカギになります。
退職したらもらえなくなりますか?
被保険者期間が継続1年以上あり、退職時に受給できる状態であれば、退職後も継続して受け取れます(前述の継続給付)。
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まとめ
傷病手当金は、病気やケガで働けないときに生活を支えてくれる心強い制度です。
- 業務外の病気・ケガで、労務不能・待期3日完成・給与なし(少ない)が主な条件
- 金額は標準報酬月額の約3分の2、期間は通算最長1年6か月
- 申請は加入先の健康保険へ(本人・会社・医師が記入)
- 一定条件を満たせば退職後も継続して受給できる
「自分は対象?」「退職後でも受給できる?」と不安な場合は、一人で悩まず、会社の健康保険担当者や加入先の健康保険組合へ相談してみましょう。
※傷病手当金の受給条件・金額・期間・手続きは、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)や個人の状況によって異なる場合があります。正確な内容は、加入先の健康保険や会社の担当部署で必ずご確認ください。
出典
