安心して休むためのお金・手続きシート
今回の診断で「まず休むタイプ」になったあなたは、次の仕事を探すことよりも、いったん立ち止まって心身や生活を整えることを優先したい状態です。
今すぐ転職する気力がない。
退職後のお金が心配。
会社を辞めたいけれど、辞めたあとに動ける自信がない。
そのようなときに、無理に求人を探したり、転職活動を始めたりする必要はありません。
ただし、安心して休むためには、
- 在職中に確認すること
- 退職前に手続きすること
- 退職後に支払うお金
- 働けない期間に利用できる制度
を整理しておく必要があります。
特に、傷病手当金や失業手当は、申請する時期や現在の就労状態によって扱いが異なります。
制度を確認しないまま退職すると、本来利用できた可能性のある給付を受けられなくなることもあります。
この記事では、まず休むタイプのあなたが、安心して休むために確認したいことを3STEPで整理します。
全部を今日中に終わらせなくても大丈夫です。
今できることから、一つずつ進めていきましょう🐻
※この記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。制度や手続きは変更される場合があるため、加入している健康保険、ハローワーク、日本年金機構、勤務先などで最新情報をご確認ください。
あなたの診断結果
まず休むタイプとは?
まず休むタイプは、今すぐ次の仕事へ進むよりも、生活や心身の状態を整えることを優先したいタイプです。
例えば、次のような気持ちがあるかもしれません。
- 仕事を探す気力が残っていない
- 会社を辞めたら、しばらく休みたい
- 体調に不安があり、すぐに働けるか分からない
- 転職先を考えるだけで疲れてしまう
- 退職後のお金や手続きが不安
- 働き方を考える前に、まず落ち着きたい
- 休職するか退職するか迷っている
この診断結果は、必ず退職した方がよい、病気である、転職活動をしてはいけない、という意味ではありません。
今のあなたに必要なのが、次の会社を決めることよりも、安心して立ち止まれる環境をつくることである可能性を示しています。
休むことは、何もしないことではありません。
無理に働き続けて状況を悪化させないために、お金や手続きを整えることも大切な準備です。
なぜこの結果になったのか
あなたが今、優先したいことは?
今のあなたが最初に確認したいのは、
次はどの会社で働くか
ではなく、
- 今すぐ働ける状態なのか
- 休む間の生活をどう支えるのか
ということです。
同じ「休みたい」という気持ちでも、現在の状況によって必要な対応は異なります。
| 現在の状況 | 最初に確認したいこと |
|---|---|
| 在職中で仕事を続けるのが難しい | 有給休暇・休職制度・傷病手当金 |
| すでに休職中 | 休職期間・社会保険料・傷病手当金・復職条件 |
| 退職日が決まっている | 退職前に満たす必要がある給付条件 |
| 退職済みで、まだ働けない | 失業手当の受給期間延長・健康保険・年金 |
| 退職済みで、働ける状態になった | 失業手当の手続き・求職活動 |
特に注意したいのは、「休職」と「失業」は別の状態であることです。
会社の休職制度は、法律で一律に期間や条件が決められているものではありません。休職期間、申請方法、復職条件、休職期間満了時の扱いなどは、勤務先の就業規則を確認する必要があります。休職中も社会保険料の本人負担が続くことがあるため、会社への支払方法も確認しておきましょう。
一方、失業手当は、退職した人全員が休養中に受け取れる制度ではありません。
失業手当の対象となる「失業」とは、就職する意思と、いつでも就職できる能力があり、積極的に仕事を探しているものの就職できていない状態を指します。病気やけがなどにより、すぐに就職できない状態では、原則として基本手当を受けられません。
まずは、自分が「今すぐ働ける状態」なのか、それとも「療養や休養を優先する状態」なのかを整理することが大切です。
休む準備で見落としやすい点
制度を確認する前に退職してしまう
今の会社がつらいと、
とにかく先に辞めたい
退職してから手続きを調べよう
と思うことがあります。
つらい環境から離れることが必要な場合もあります。
ただし、傷病手当金を退職後も継続して受け取るためには、退職前に満たしておく必要がある条件があります。
例えば、協会けんぽでは、退職後も傷病手当金の継続給付を受けるには、退職日(資格喪失日の前日)までに継続して1年以上の被保険者期間があり、退職日時点で傷病手当金を受けているか、受けられる状態であることが必要です。退職日に出勤すると、退職後の継続給付を受けられない場合があります。
退職届を出す前に、少なくとも次の点を確認しましょう。
- 加入している健康保険
- 傷病手当金の対象になる可能性
- 医師への相談が必要か
- 会社の休職制度
- 有給休暇の残日数
- 退職日当日の扱い
- 退職後の申請方法
「退職後に調べればよい」と考えず、在職中に加入先の健康保険や勤務先へ確認することが重要です。
働けない状態で失業手当を受けようとする
失業手当は、退職後の生活を支える重要な制度です。
しかし、
しばらく何もせず休みたい
体調が整うまでは働けない
という状態では、失業手当の基本的な受給要件を満たさない可能性があります。
その場合、無理に求職活動を始めるのではなく、受給期間の延長を確認します。
病気やけがなどにより、退職後引き続き30日以上働けない場合は、本来1年間である基本手当の受給期間に、働けない期間を最大3年間加え、最長4年間まで延長できる場合があります(所定給付日数が長い一部の人は扱いが異なる場合があります)。
これは失業手当の日数が増える制度ではありません。
働ける状態になってから、残っている給付日数を受け取れるように、受給できる期限を延ばす制度です。
退職後にかかるお金を見落とす
会社員の間は、健康保険料や厚生年金保険料が給与から天引きされています。
退職すると、自分で健康保険や年金の手続きを行う必要があります。
また、休職中も健康保険や厚生年金の資格が続く場合、社会保険料の本人負担がなくなるとは限りません。給与の支給がないときは、会社から別途支払いを求められることもあります。
休む期間の家計を考えるときは、毎月の生活費だけでなく、次の支払いも含めて考えましょう。
- 健康保険料
- 年金保険料
- 住民税
- 家賃
- 水道光熱費
- 通信費
- 医療費
- ローンやクレジットカードの支払い
「収入がなくなること」だけでなく、「退職後も続く支払い」を把握することが大切です。
回復を急いでしまう
休み始めた直後は、
いつから転職活動を始めればよいか
何か月休めば元に戻れるか
早く次を決めなければいけない
と焦ることがあります。
しかし、回復のペースは人によって異なります。
先に転職活動の期限を決めるよりも、まずは生活や手続きを整え、休める環境をつくることが重要です。
一方で、傷病手当金や健康保険、失業手当の受給期間延長などには申請条件や期限があります。
体調の回復は急がず、手続きの期限だけを確認する。
この2つを分けて考えましょう。手続きが難しいと感じるときは、家族や信頼できる人に手伝ってもらったり、窓口に相談しながら進めたりして大丈夫です。期限さえ確認できていれば、それで十分です。
今やること3STEP
STEP1|「今すぐ働ける状態か」を整理する
最初に、現在の状態に近いものを確認してください。
今すぐ働ける
仕事を探し、採用された場合に比較的早く働き始められる状態です。
この場合は、失業手当や転職活動の準備へ進める可能性があります。
今すぐ働くことは難しい
体調や生活上の事情から、採用されても働き始めることが難しい状態です。
この場合は、傷病手当金や失業手当の受給期間延長などを確認します。
自分では判断できない
心身の不調があり、働けるかどうか分からない場合は、自分だけで決めず、医療機関や主治医へ相談してください。
傷病手当金における「仕事に就くことができない状態」は、本人の感覚だけではなく、医師の意見や実際の仕事内容などを踏まえて判断されます。
在職中であれば、次の相談先も確認しましょう。
- 主治医・医療機関
- 会社の人事・労務担当者
- 産業医・保健師
- 加入している健康保険
- 労働組合
- 地域産業保健センター
ただし、医師に相談しただけで、自動的に休職や傷病手当金が認められるわけではありません。
医療上の判断、会社の就業規則、健康保険の審査は、それぞれ別に行われます。
STEP2|在職中に使える制度と退職前の条件を確認する
まだ会社に在籍している場合は、退職を決める前に、次の項目を確認してください。
会社へ確認すること
- 有給休暇の残日数
- 休職制度の有無
- 休職できる期間
- 休職申請に必要な書類
- 診断書の提出先
- 休職中の給与
- 休職中の社会保険料
- 会社との連絡方法と頻度
- 復職時の手続き
- 休職期間満了時の扱い
加入している健康保険へ確認すること
- 傷病手当金の対象になるか
- 待期期間を満たしているか
- 1日当たりの見込み額
- 申請に必要な書類
- 申請する単位
- 退職後も継続できるか
- 退職日当日の注意点
医療機関へ相談すること
- 現在の仕事を続けられる状態か
- 休養が必要な期間
- 診断書や申請書への記載
- 通院の頻度
- 復職時に必要な配慮
休職制度の条件は会社によって異なります。
また、傷病手当金は会社が支給するものではなく、加入している健康保険が審査・支給する制度です。
会社から「対象にならない」と言われた場合でも、最終的な受給可否は加入している健康保険へ確認してください。
STEP3|休む期間の家計と手続き日程を作る
安心して休むためには、少なくとも1か月分の家計を数字で確認しておきましょう。
次の表を埋めてみてください。
| 項目 | 1か月の金額 |
|---|---|
| 家賃・住宅ローン | ____円 |
| 水道光熱費 | ____円 |
| 食費 | ____円 |
| 通信費 | ____円 |
| 健康保険料 | ____円 |
| 年金保険料 | ____円 |
| 住民税 | ____円 |
| 医療費 | ____円 |
| 保険・ローン等 | ____円 |
| その他 | ____円 |
| 合計 | ____円 |
次に、休んでいる間に利用できる可能性があるお金を確認します。
| 収入・資金 | 1か月の見込み |
|---|---|
| 傷病手当金 | ____円 |
| 会社から支給される給与等 | ____円 |
| 貯金から使える金額 | ____円 |
| 家族等からの支援 | ____円 |
| その他 | ____円 |
| 合計 | ____円 |
あわせて、手続きの期限も一つの表にまとめます。
| 手続き | 期限・確認日 |
|---|---|
| 傷病手当金の申請 | __月__日 |
| 退職後の健康保険 | __月__日 |
| 失業手当の受給期間延長 | __月__日 |
| 国民年金の手続き | __月__日 |
| 住民税の支払い | __月__日 |
体調がすぐれないときに、すべてを一人で進める必要はありません。
家族や信頼できる人に書類の整理や郵送を手伝ってもらったり、窓口へ代理提出が可能か確認したりすることも検討してください。
利用できる可能性がある制度・公的サービス
傷病手当金
傷病手当金は、健康保険に加入している会社員などが、業務外の病気やけがにより仕事を休み、十分な給与を受け取れない場合に、生活を支えるために支給される制度です。
主な条件は、次のとおりです。
- 業務外の病気やけがで療養している
- 仕事に就くことができない
- 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいる
- 休んだ期間について十分な給与を受けていない
支給額は原則として、支給開始日前12か月の標準報酬月額の平均をもとに算出した日額の3分の2相当です。支給期間は、同じ傷病について支給開始日から通算1年6か月です。
業務中や通勤中の出来事が原因となった病気やけがは、健康保険の傷病手当金ではなく、労災保険の対象となる可能性があります。
退職後も傷病手当金を受け続けるには、退職前から受給している、または受給条件を満たしていることなどが必要です。
より詳しい条件・金額・申請方法は、こちらの記事にまとめています。

※傷病手当金は、単に仕事を休みたいという理由だけでは支給されません。仕事に就けない状態かどうかは、医師の意見や仕事内容などをもとに審査されます。
失業手当の受給期間延長・雇用保険の傷病手当
退職後、病気やけがのためにすぐ働けない場合は、通常の失業手当を受けられない可能性があります。
その場合は、働ける状態になってから失業手当を受け取れるように、受給期間の延長を申請できることがあります。
退職後引き続き30日以上働けない場合は、本来1年間の受給期間を、働けない日数に応じて最大3年間延長し、最長4年間とすることができます。
また、ハローワークで基本手当の受給手続をした後に、病気やけがで15日以上続けて働けなくなった場合は、雇用保険の「傷病手当」の対象になることがあります。
健康保険の「傷病手当金」と、雇用保険の「傷病手当」は、名前が似ていますが別の制度です。
| 制度 | 主な対象 |
|---|---|
| 健康保険の傷病手当金 | 在職中などに病気やけがで仕事を休む人 |
| 雇用保険の傷病手当 | 失業手当の受給手続き後に病気やけがで求職できなくなった人 |
| 受給期間延長 | 退職後30日以上働けない人が、受給期限を延ばす制度 |
雇用保険の傷病手当は、他の法令による類似の給付を受ける日には支給されないことがあります。どの制度を利用するかは、健康保険とハローワークの両方へ確認してください。
退職後の健康保険
退職後の健康保険には、主に次の3つの選択肢があります。
- 退職前の健康保険を任意継続する
- 国民健康保険へ加入する
- 家族の健康保険の扶養に入る
協会けんぽの任意継続は、退職日までに継続して2か月以上加入していることに加え、退職日の翌日から20日以内に手続きする必要があります。任意継続、国民健康保険、家族の扶養では、保険料や加入条件が異なります。
特に任意継続は申請期限が短いため、退職後ではなく、退職前から保険料の見積もりを取っておくと安心です。
国民年金保険料の免除・納付猶予
退職後、厚生年金から国民年金へ切り替える人は、収入が減って保険料の支払いが難しい場合、免除や納付猶予を申請できる可能性があります。
失業の事実を確認できる場合は、失業した本人の前年所得にかかわらず審査する特例があります。ただし、免除は配偶者・世帯主の所得、納付猶予は配偶者の所得が審査対象になり、必ず承認されるわけではありません(納付猶予では世帯主の所得は審査対象になりません)。
申請時には、離職票や雇用保険受給資格者証など、失業を確認できる書類が必要になる場合があります。
保険料を払えないまま放置せず、市区町村の年金窓口や年金事務所へ相談してください。
より詳しい手続き・免除申請の流れは、こちらの記事にまとめています。

働く人の「こころの耳」相談窓口
仕事や人間関係、心身の不調について一人で抱え込んでいる場合は、厚生労働省の「こころの耳」で相談できます。
働く人やその家族を対象に、電話・SNS・メールで相談を受け付けており、匿名・無料で利用できます。
制度や手続きの相談窓口ではありませんが、
- 仕事のことを考えると不安になる
- 誰にも相談できない
- 休むことに罪悪感がある
- 会社とのやり取りがつらい
といった悩みを聞いてもらうことができます。
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転職活動を始めるタイミング
今は転職サービスを急いで使わなくても大丈夫
まず休むタイプの人に、今すぐ転職サービスやスクールを案内する必要はありません。
転職サイトを見るだけで疲れてしまう状態で、多くの求人や連絡に対応すると、休む時間を取れなくなる可能性があります。
転職活動を始める目安は、次のような状態になったときです。
- 一定の生活リズムを保てるようになった
- 求人情報を読んでも強い負担を感じにくくなった
- 応募書類や面接の準備に取り組める
- 採用された場合に、働き始められる見込みがある
- 療養中の場合は、主治医などと就労について相談できている
すべてを満たさなければ転職してはいけない、という意味ではありません。
自分が「仕事を探さなければ」と追い立てられているのか、「そろそろ仕事を考えたい」と思えているのかを確認してください。
働ける状態になったら、もう一度診断を受け、転職準備タイプやキャリアチェンジタイプのロードマップへ進みましょう。
最後に
今日から始めるなら、この一歩
今のあなたが最初にすることは、転職先を探すことではありません。
まずは、次の3つを書き出してください。
- 現在の状態:在職中・休職中・退職予定・退職済み
- 今すぐ働ける状態:はい・いいえ・分からない
- 最初に確認する窓口:会社・健康保険・医療機関・ハローワーク
そして今日行うことを、一つだけ決めます。
例えば、
- 就業規則の休職制度を確認する
- 加入している健康保険を調べる
- 医療機関へ相談する
- 人事へ傷病手当金の申請方法を聞く
- 任意継続の保険料を確認する
- ハローワークへ受給期間延長について問い合わせる
これだけで構いません。
今すぐ将来を決める必要はありません。
休んでいる間に、転職先や今後のキャリアまで考えられなくても大丈夫です。
まずは、お金と手続きを整えて、安心して休める状態をつくってください。
休むことは、立ち止まることではなく、次に進むために自分を守る選択です。
