再就職手当の条件といくらもらえるか【計算式とシミュレーション】早く決まった人のボーナス
再就職手当は、ひとことで言えば「失業保険を残して早く再就職した人がもらえるボーナス」です。残した給付日数の60%または70%をまとめて受け取れるため、数十万円になることも珍しくありません。
「早く決めたら損」と思われがちな失業保険ですが、この手当があるおかげで、早く決めた人がちゃんと報われる設計になっています。
この記事では、支給される8つの条件、計算式とシミュレーション、そして「もらわない方がいい」という説の真偽まで解説します。
この記事は2026年8月時点の一般的な情報です。支給の可否はハローワークが判断します。個別の条件は必ず窓口でご確認ください。
再就職手当とは:早期再就職のボーナス

失業保険(基本手当)の受給資格がある人が、所定給付日数を3分の1以上残して安定した職業に就いた場合に、残りの一部をまとめて受け取れる制度です。
- 残り3分の2以上で再就職 → 残日数 × 基本手当日額 × 70%
- 残り3分の1以上で再就職 → 残日数 × 基本手当日額 × 60%
「もらい切ってから就職しよう」と受給を引き延ばすより、「早く決めて手当をもらい、給料ももらう」方が合計収入で上回るケースが多い——という行動設計になっています。
支給される8つの条件

ハローワークが案内する要件は、次の8つに整理できます。
- 受給手続き後、7日間の待期満了後に就職したこと
- 所定給付日数の3分の1以上が残っていること
- 離職した前の会社(関連会社含む)への再就職ではないこと
- 離職理由による給付制限がある人は、待期満了後1か月以内の就職の場合、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介での就職であること(1か月経過後は自己応募でもOK。判定は原則として就職日ベース)
- 1年を超えて勤務することが確実と認められること(無期雇用のほか、有期契約でも更新により1年超の雇用が確実な場合は該当し得ます。「更新の可能性あり」だけの記載や不確定な更新条件では認められないことがあります)
- 雇用保険の被保険者になること(原則週20時間以上等)
- 過去3年以内に再就職手当・常用就職支度手当を受けていないこと
- 受給資格決定前から採用が内定していた会社ではないこと
つまずきやすいのは条件4(給付制限中の最初の1か月は自己応募NG)と条件5(短期契約は対象外になり得る)です。転職サイトからの自己応募で決まった人は、内定日・入社日が「最初の1か月」を過ぎているかを確認してください。
いくらもらえる?計算式とシミュレーション

計算式:残りの支給日数 × 基本手当日額 × 60%または70%
(基本手当日額には再就職手当用の上限があります。上限額は年度により改定されるため、受給資格者証・ハローワークで確認を)
例1:所定90日・基本手当日額5,000円・待期後すぐ(残90日)に就職
残日数90日は全体の3分の2以上 → 90 × 5,000 × 70% = 31万5,000円
例2:所定120日・日額6,000円・40日受給後(残80日)に就職
残80日は3分の2以上 → 80 × 6,000 × 70% = 33万6,000円
例3:所定150日・日額5,500円・90日受給後(残60日)に就職
残60日は3分の1以上・3分の2未満 → 60 × 5,500 × 60% = 19万8,000円
ポイントは、「早いほど率も残日数も大きい」という二重の効き方です。同じ所定日数でも、決まるのが早い人ほど手当は跳ね上がります。
さらに、再就職先の給料が前職より低い場合は就業促進定着手当(6か月勤務後に差額の一部を支給)が上乗せできる場合があります。
「もらわない方がいい」説の真偽

検索でよく見る「もらわない方がいい」という説を検証します。
- 説①「失業保険を満額もらってから就職した方が得」:受給中は収入が基本手当だけですが、再就職すれば給料+手当です。単純な合計金額では早期就職が上回るのが普通です(もちろん、療養・介護・職業訓練など、就職を急がない合理的な事情がある場合は別の話です)
- 説②「もらうとすぐ辞めたとき損」:再就職手当は受給後に自己都合で辞めても返還不要です(虚偽申請は別)。ただし、すぐ離職すると次の失業保険の受給資格・残日数に影響します
- 説③「手当をもらうと失業保険の権利が消える」:手当は「残日数の6〜7割の前払い」なので、確かに残りは消化されます。ただし再就職先を短期間で離職した場合、受給期間内なら残った分の再開についてハローワークに相談できます
結論:条件を満たす場合、申請を検討する価値の高い制度です。申請しない方が有利になるケースは限定的ですが、高年齢再就職給付金との選択や早期離職の可能性など個別事情がある場合は、ハローワークで確認してください。
申請の流れ(ざっくり)

- 採用が決まったら、入社日の前日までにハローワークへ就職の届け出(失業認定)
- 「再就職手当支給申請書」を受け取る
- 入社後、事業主の証明欄を会社に記入してもらう
- 必要書類とともに提出(原則の提出期間は就職日の翌日から1か月以内。過ぎても時効完成前の2年以内なら申請できる場合がありますが、早めの提出が確実です)
- 審査(在籍確認あり)→ 支給決定 → 振込
申請書の書き方・振込までの日数・遅いときの対処は、別記事で詳しく解説します:再就職手当はいつ振り込まれる?
失業保険の全体像はこちら:

よくある質問

給付制限中に決まった場合ももらえますか?
もらえます。むしろ1日も基本手当を受けていない状態なので、残日数は満額=70%区分です。ただし給付制限の最初の1か月は「ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介」での就職であることが条件です(転職エージェント経由は該当し得ます。求人サイトからの自己応募は対象外の期間があるため要確認)。
アルバイト・パートとして就職してももらえますか?
雇用保険の被保険者となり(原則週20時間以上)、1年を超える勤務が確実なら対象になり得ます。週20時間未満の勤務は対象外です。
個人事業主・フリーランスとして開業した場合は?
自営・開業でも、事業の実態があり1年を超えて安定的に継続すると認められるなどの要件を満たせば、対象になり得ます。離職理由による給付制限がある人は、原則として待期満了後1か月を経過してからの事業開始が必要です。開業届などの資料も要るため、準備段階でハローワークへ相談してください。
二回目の転職でももらえますか?
過去3年以内に再就職手当(または常用就職支度手当)を受けていなければ、受給できます。「3年以内」は前回の就職日からの起算が原則です。
内定をもらってから失業保険の手続きをすればいいですか?
順番が逆だと対象外です。受給資格決定前に内定していた会社への就職は対象になりません(条件8)。退職後は先にハローワークで手続きを済ませるのが鉄則です。
まとめ
- 再就職手当=残日数 × 日額 × 60%または70%の早期就職ボーナス。数十万円になることも
- 条件のつまずきポイントは「給付制限の最初の1か月は紹介経由」と「1年超の勤務見込み」
- 早いほど率も残日数も有利。「満額もらってから」より合計収入で勝ちやすい
- 受給後に辞めても返還不要(虚偽は別)。申請しない方が有利なケースは限定的(個別事情はハローワークで確認)
- 申請は就職日の翌日から1か月以内が原則。まず入社前日までにハローワークへ届け出を
失業保険は「ゆっくりもらう」より「早く決めて手当で回収」の方が、お金もキャリアも得なことが多い制度です。内定が出たら、その足でハローワークへどうぞ。
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。支給要件・上限額の詳細はハローワークにご確認ください。
