傷病手当金はいくら?計算方法と月給別早見表【手取りとの差もわかる】
「傷病手当金って、結局いくらもらえるの?」——休職や退職を考えるとき、この金額が分からないと生活の計画が立ちません。
計算式はシンプルです。ざっくり言えば「給与のおよそ3分の2」。ただし、正確には「額面の3分の2」ではなく、標準報酬月額という社会保険上の数字を使うため、思っている額と少しズレます。
この記事では、正確な計算式、月給別の日額早見表、手取りと比べてどのくらい減るのか、ボーナス・残業代の扱いまで、数字の疑問をまとめて解決します。
この記事は2026年8月時点の一般的な情報です。正確な支給額は加入先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)の決定によります。
計算式:標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3

正式な計算式はこうです。
1日あたりの支給額 = 支給開始日以前の継続した12か月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3
用語を分解します。
- 標準報酬月額:社会保険料を計算するために、給与を区切りのいい等級に当てはめた金額。基本給だけでなく、残業代・通勤手当・住宅手当などの各種手当を含んだ報酬をもとに決まっています
- 12か月間の平均:直近1か月の給与ではなく、支給開始日以前12か月の平均で計算します。直前に残業が減って給与が下がっていても、急には下がりません
- ÷30×2/3:月額を日割りにして、その3分の2が1日分になります
加入期間が12か月に満たない場合は、「加入期間中の平均」か「加入する健康保険の全被保険者の平均」の低い方で計算されます。入社1年未満の人は、この点で想定より少なくなることがあります。
月給別・日額早見表(目安)

標準報酬月額ごとの1日あたり支給額の目安です(標準報酬月額 ÷ 30 × 2/3。10円未満は概算)。
| 標準報酬月額 | 1日あたり(目安) | 30日分(目安) |
|---|---|---|
| 20万円 | 約4,440円 | 約13.3万円 |
| 24万円 | 約5,330円 | 約16.0万円 |
| 26万円 | 約5,780円 | 約17.3万円 |
| 30万円 | 約6,670円 | 約20.0万円 |
| 34万円 | 約7,560円 | 約22.7万円 |
| 38万円 | 約8,440円 | 約25.3万円 |
※標準報酬月額は「額面給与とほぼ同じ水準の等級」に当てはめられます。自分の標準報酬月額は、給与明細の健康保険料から逆算するか、加入先の健保に確認すればわかります(マイナポータルでも確認できる場合があります)。
大事な注意:支給されるのは「休んだ日数分」です。待期3日間の後、労務不能だった日について日額×日数で支払われます。土日など会社の休日も、労務不能の状態が続いていれば支給対象日に含まれます。
「手取り」と比べるといくら減る?

「3分の2」と聞くと大幅減に感じますが、手取りベースで比べると、減り幅は思ったより小さくなります。理由は2つあります。
- 傷病手当金は非課税:所得税・住民税がかかりません(住民税は前年所得分の請求が来る点に注意)
- 在職中の受給なら:社会保険料は引き続き発生しますが、給与にかかっていた所得税の源泉徴収はなくなります
ざっくりした感覚では、傷病手当金は従前の手取りの75〜80%前後に相当することが多いです。ただしこれは、社会保険料や前年分の住民税を払う前の比較です。実際に生活費に回せる額は「傷病手当金 −(社会保険料+住民税)」で確認してください(個人差があります)。
なお、会社から給与や手当が支払われている日は調整が入ります。その額が傷病手当金の日額以上なら支給されず、日額より少ない場合は原則として差額が支給されます。有給休暇を使った日は、通常は賃金が日額を上回るため支給されないのが一般的です。
ボーナス・残業代・手当はどう影響する?

- 残業代・通勤手当・役職手当など:標準報酬月額に含まれています。残業が多かった時期を含む12か月平均なら、その分日額も上がります
- ボーナス(年3回以下の賞与):標準報酬月額には含まれません。「年収の3分の2」ではない点に注意してください。ボーナス比重が大きい給与体系の人ほど、体感の減り幅は大きくなります
- 昇給・降給:標準報酬月額は原則年1回の定時決定(+大幅変動時の随時改定)で見直されるため、直近の昇給が即座に反映されるとは限りません
「計算が合わない」と感じたら、たいていは①標準報酬月額と額面のズレ、②12か月平均、③ボーナス除外のどれかが原因です。
支給額が「思ったより少ない」ときの確認ポイント

振り込まれた額に違和感があるときは、この順で確認してください。
- 支給対象日数:申請期間のうち、待期3日は対象外。有給取得日・給与支払いのあった日は、支払額が日額以上なら不支給(日額未満なら差額支給)です
- 標準報酬月額:支給決定通知書に記載があります。自分の認識とズレていないか
- 12か月平均:転職・昇給・入社1年未満だと、直近の給与と平均が離れます
- 社会保険料の天引き:在職中の受給では、会社経由で保険料を精算するため、手元に届く額が減って見えることがあります
- それでも不明なら、加入先の健保に計算内訳を確認。不服があれば審査請求(原則3か月以内・社会保険審査官)という手続きもあります
制度の条件(誰が・いつまでもらえるか)はこちらで確認できます。

退職後ももらい続ける条件と落とし穴はこちら:傷病手当金は退職後ももらえる?継続給付の条件
申請書の書き方・提出の流れはこちら:傷病手当金 退職後の申請方法
よくある質問

計算ツールはありますか?
協会けんぽ・健保組合の公式サイトや自治体系のツールは限られますが、この記事の早見表と「標準報酬月額÷30×2/3」で目安は十分に出せます。正確な額は加入先が決定するため、大きな判断(退職・住宅ローン等)の前は健保に確認してください。
パート・時給制でも同じ計算ですか?
同じです。時給制でも社会保険に加入していれば標準報酬月額が決まっており、その12か月平均で計算されます。
傷病手当金から社会保険料や税金は引かれますか?
傷病手当金そのものは非課税で、所得税は引かれません。ただし在職中は健康保険・厚生年金の保険料負担が続くため、会社との精算が発生します。退職後の継続給付では、国民健康保険・国民年金の保険料を自分で納めます。
支給開始後に昇給したら金額は上がりますか?
日額は「支給開始日以前12か月の平均」で固定されるのが原則で、支給開始後の昇給は反映されません。
上限はありますか?
標準報酬月額には等級の上限があるため、給与が非常に高い人は頭打ちになります。また、支給期間は支給開始から通算1年6か月です。
まとめ
- 計算式は「標準報酬月額の12か月平均 ÷ 30 × 2/3」。額面の3分の2とは微妙にズレる
- ボーナスは含まれない。残業代・各種手当は標準報酬月額に含まれている
- 非課税のため、手取り比較では75〜80%程度に相当することが多い
- 支給は休んだ日数分。待期3日は対象外、給与・有給の賃金が出た日は日額との差額調整
- 「少ない」と感じたら:対象日数→標準報酬月額→12か月平均→ボーナス除外の順で確認
- 入社1年未満は平均の取り方が変わり、想定より少なくなることがある
金額の目安が出れば、「休んでも生活が回るか」の判断ができます。早見表で自分の行をチェックして、必要なら家計の固定費と並べてみてください。数字が出れば、休む決断は少し軽くなります。
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。実際の支給額は加入先の健康保険の決定によります。正確な金額・内訳は協会けんぽ・健康保険組合にご確認ください。
