試用期間で今日にでも辞めたい|即日退職できる4つのルートと現実的な手順
「明日、もう会社に行きたくない」「試用期間だけど、今日で辞めたい」
結論から言うと、試用期間中の即日退職は、条件がそろえば可能です。ただし、「辞めます」と言えばその瞬間に契約が終わる、という単純な話ではありません。仕組みを知らずに動くと、無用なトラブルや損を抱えます。
この記事では、即日退職が成立する4つのルートと、明日から出社しない状態を作る現実的な手順、そして絶対にやってはいけない方法を整理します。
この記事は2026年8月時点の一般的な情報です。個別の契約内容によって扱いが変わるため、迷ったら雇用契約書を確認し、必要に応じて公的な相談窓口を利用してください。
先に結論:法律の原則は「2週間」。でも実質即日にするルートがある

まず原則から。期間の定めのない雇用(正社員の多く)では、退職を申し出てから2週間で雇用契約が終了します(民法627条)。つまり、あなたの意思表示だけで「今日で契約終了」を確定させることは、原則としてできません。
「なんだ、無理じゃないか」と思うのはまだ早いです。実務では、次の2つを分けて考えます。
- 契約が終わる日(退職日)
- 実際に出社する最後の日
この2つは同じである必要がありません。「退職日は2週間後、でも明日からは出社しない」という形が作れれば、あなたにとっては実質的な即日退職です。そして試用期間中は、会社側も「辞める人を2週間引き止めても得がない」と考えることが多く、この形に落ち着きやすいのです。
自分がどのルートに当てはまるかは、契約の形で変わります。先に全体像を示します。
| あなたの状況 | 使えるルート |
|---|---|
| 期間の定めのない雇用(正社員の多く) | 2週間ルール+①合意 or ②欠勤で実質即日 |
| 契約期間の定めがある(契約社員・パート等) | ①合意、または④やむを得ない事由 |
| 有給休暇がすでに付与されている | 残りの期間に時季指定して消化(承認は不要) |
| 労働条件通知書と実態が違う | ③即時解除(労基法15条2項) |
| 心身の不調・ハラスメントがある | 受診・証拠保存を先に。④や公的相談窓口へ |
即日退職が成立する4つのルート

ルート①:会社と合意する(いちばん多い・現実的)
退職日は、会社と労働者が合意すればいつにでもできます。「本日付で退職」も、会社がOKと言えば成立します。試用期間中の申し出なら、「わかりました、では今日までで」となるケースは珍しくありません。まずは正攻法でこれを狙います。
ルート②:残りの期間を欠勤・有給で出社しない
合意で即日にならなくても、退職日までの2週間を欠勤扱いにしてもらえれば、出社はしません。欠勤は会社の承認が前提の相談ベースですが、辞める人を無理に出社させる会社は多くありません。
有給休暇がすでに付与されている場合は、話が変わります。有給の取得は労働者の権利で、会社の承認は不要です(会社には時季変更権がありますが、退職日以降に変更する余地がないため、実質的に拒めません)。ただし法定の有給は入社6か月経過後の付与が原則なので、試用期間中はまだ無いことが多い点は知っておいてください(会社独自の前倒し付与があれば使えます)。
ルート③:労働条件が「明示された内容」と違う
会社が労働条件通知書や雇用契約書で明示した労働条件が事実と違う場合、労働者は即時に労働契約を解除できます(労働基準法15条2項)。給与額、固定残業、休日、業務内容などが明示内容と大きく違うなら、法律上の即日退職ルートです。
このルートを使うなら証拠が命です。労働条件通知書・雇用契約書・給与明細・シフト表を保存し、求人票も補強材料として残したうえで、ハローワークや労働基準監督署に相談してください。どの条件がどう違うかを紙に整理してから行くと、話が早く進みます。
ルート④:契約期間の定めがある場合の「やむを得ない事由」
契約社員やパートなど契約期間の定めがある雇用では、期間途中の退職に「やむを得ない事由」が必要ですが、逆に言えば、心身の不調で就労が困難な場合などは即時の解除が認められることがあります(民法628条)。
体調が理由なら、契約の形にかかわらず、先に受診して医師の判断を仰ぐこと。診断書は退職の話し合いでも、その後の手続きでも、あなたを守る材料になります。期間の定めのない雇用の人は、体調不良の場合も①合意+②欠勤の組み合わせで実質即日にするのが現実的です。
現実的な手順:「明日から行かない」をトラブルなく作る

- 朝、始業前に直属の上司へ連絡(出社できるなら対面、無理なら電話)
- 「退職したい。可能なら本日付で」と結論から伝える。理由は「一身上の都合」「適性を考えた結果」の粒度でOK
- 即日の合意が取れなければ、「退職日は規定に従いますが、明日以降は欠勤とさせてください」と相談する
- 貸与品(PC・社員証・制服など。健康保険の資格確認書が交付されていればそれも)の返却方法を確認する。以後のやり取りは郵送に切り替え可能
- 離職票などの必要書類の送付先を伝える
ポイントは、「辞めるかどうか」を交渉のテーブルに載せないことです。辞めることは決定事項として、「いつ・どうやって」だけを話す。引き止めには「気持ちは決まっています」で一貫してください。
角が立たない理由の言い方・例文は、こちらにまとめています。

絶対にやってはいけない:連絡なしの「バックレ」

「もう連絡すら取りたくないから、黙って行かない」——気持ちは分かりますが、バックレ(無断欠勤のまま消える)だけは選ばないでください。理由は道徳ではなく、実害です。
- 連絡が取れない社員には、会社は状況確認のため電話・自宅訪問・緊急連絡先(家族)への連絡を行うことがあります
- 無断欠勤が続くと、就業規則によっては懲戒解雇となる可能性があり、転職時の経歴説明が一気に重くなります
- 離職票・源泉徴収票などの書類のやり取りが滞り、失業手当や次の入社手続きに響きます
- 貸与品の未返却や引き継ぎ放棄をめぐって、余計なトラブルの火種が残ります
「連絡したくない」が本音なら、バックレではなく、連絡を代わりにやってもらう次の選択肢が現実解です。
自分で言えないなら:退職代行を使うときに知っておくこと

どうしても自分から言い出せない、引き止めが怖い、もう会社と直接話したくない——そんなときの選択肢が退職代行です。ただし、「即日対応」という言葉の意味は正確に理解してください。
「即日対応」=「相談したその日のうちに会社へ退職の連絡を入れてくれる」という意味です。法律上その日に契約が終了することを保証するものではありません。実際には、代行業者が会社に連絡し、本人は出社せず、退職日は合意や欠勤処理で調整される——つまりこの記事で説明したルート①②を、あなたの代わりに進めてくれるイメージです。
もう一つ重要なのが、運営元によってできることが法律上違うことです。
- 民間企業のみの運営:退職の意思を伝えることはできるが、条件面の交渉はできない(報酬を得て交渉すると非弁行為のおそれ)
- 労働組合が関与:加入者の労働条件について会社と団体交渉ができる
- 弁護士運営:交渉に加え、法的な請求・代理まで対応できる
「欠勤扱いにしてほしい」「退職日を調整してほしい」といった交渉が必要になりやすい即日退職では、労働組合型か弁護士型を選ぶのが安全です。3タイプの違いはこちらで比較しています。

労働組合連携型がどういう仕組みで「交渉できる」のかは、個別サービスを例にこちらで整理しています(利用を決める前に、対応範囲を必ず公式サイトで確認してください)。

即日退職のあとに残る手続き

出社しなくなったあとも、以下は必ず発生します。放置せず、郵送で淡々と片付けてください。
- 貸与品の返却:健康保険の資格確認書(交付されている場合)・PC・社員証・制服・鍵など。追跡できる方法(レターパック等)で郵送
- 給料:働いた分は日割りでも支払われます。試用期間や急な退職を理由に不払いにはできません
- 書類の受け取り:離職票(失業手当に必要)・源泉徴収票(次の会社の年末調整に必要)・雇用保険被保険者証。届かなければ会社に催促し、応じなければハローワークへ
- 社会保険の切り替え:次の職場が決まっていない場合、健康保険と年金の切り替え手続きが必要です
退職後の手続き全体は、こちらのチェックリストで確認できます。

よくある質問

電話やメールで退職を伝えてもいいですか?
法律上、退職の意思表示の方法に決まりはなく、電話やメールでも有効です。対面が原則的なマナーではありますが、出社が難しい状態なら電話で構いません。言った・言わないを避けるため、通話後にメールでも残しておくと安心です。
入社したばかりで有給がありません。2週間どうすれば?
法定の有給は入社6か月後の付与が原則なので、試用期間中は無いことが多いです。その場合は「退職日までを欠勤扱いにしてほしい」と相談します。欠勤分の給料は出ませんが、出社せずに退職日を迎えられます。
「即日で辞めたら損害賠償を請求する」と言われました
退職自体は労働者の権利であり、辞めたこと自体を理由とする損害賠償が簡単に認められるものではありません。脅しめいた発言が続く場合は、一人で対応せず、労働組合型・弁護士型の退職代行や、労働局の総合労働相談コーナーなど公的窓口に相談してください。
試用期間中でも社会保険や雇用保険には入っていますか?
加入要件を満たしていれば、試用期間中でも入社日から加入しています。だからこそ退職時には資格喪失の手続き(資格確認書が交付されていれば返却も)が発生し、希望すれば離職票も発行されます。なお、離職票が発行されることと失業手当を受給できることは別で、受給には雇用保険の加入期間などの要件があります(前職の加入期間と通算できる場合があるため、離職票は保管を)。
バックレてしまいました。今からどうすれば?
今からでも連絡を入れるのが最善です。直接が無理なら、退職代行を通じて退職の意思と貸与品返却・書類送付の段取りを伝えましょう。放置期間が延びるほど、懲戒解雇リスクと手続きの滞りが大きくなります。
まとめ
- 法律の原則は申し出から2週間。ただし「退職日」と「最後に出社する日」は別物
- 即日退職のルートは4つ:①会社との合意 ②欠勤・有給で出社しない ③労働条件の相違(労基法15条2項) ④やむを得ない事由
- 試用期間中は会社側も長引かせたくないため、合意で実質即日になるケースが多い
- バックレだけは選ばない。懲戒解雇・書類の滞り・緊急連絡先への連絡と、実害しかない
- 退職代行の「即日対応」は「その日に連絡してくれる」の意味。交渉が必要なら労働組合型・弁護士型を選ぶ
- 辞めたあとも、貸与品返却・書類受け取り・保険の切り替えは淡々と片付ける
「今日で辞めたい」と思い詰めているときほど、動き方で結果が変わります。正しいルートを選べば、明日から出社しない状態は作れます。連絡だけは、必ず入れましょう。
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。個別の契約・手続きの詳細は、雇用契約書および管轄のハローワーク・労働基準監督署等でご確認ください。
