辞める前に資格を取るという選択肢|在職中・休職中・退職後に使える給付とスクールの選び方
会社を辞めたい。でも、辞めたあとにやりたい仕事ができるのか自信がない。
そう感じているなら、辞める前に「次の仕事で使える資格やスキル」を先に取りにいく方法があります。給料や手当が入っている間に準備を進められるので、辞めたあとのあせりがまるで違います。
この記事では、在職中・休職中・退職後のそれぞれで、何が使えて何が使えないのかを整理します。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。この記事は2026年10月時点の情報です。給付金の条件や金額は変わることがあります。利用する前に、ハローワークや各制度の公式サイトで最新の内容を確認してください。
どんなスクールが自分に合うのか、先にざっくり知りたい人は、5つの質問で調べられます。
なぜ「辞める前」なのか
理由は3つあります。
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| 収入がある | 給料や手当が入っているので、生活費を心配せずに学べる |
| 在職中にしか使えない制度がある | 国の支援の中には「在職している人」だけが対象のものがある |
| 選択肢を持ったまま辞められる | 「辞めるしかない」ではなく「次が見えているから辞める」に変わる |
辞めてから考えると、貯金が減っていくあせりの中で、次の仕事を決めることになります。先に準備しておくほど、選べる仕事が増えます。
【早見表】いまの状況で、使えるもの・使えないもの
| いまの状況 | 使えるもの | 使えないもの |
|---|---|---|
| 在職中(働いている) | 教育訓練給付金/リスキリング支援事業/教育訓練休暇給付金(会社に制度がある場合) | 失業保険、職業訓練 |
| 休職中(傷病手当金をもらっている) | 自分で学ぶ(スクール・通信講座・独学)/教育訓練給付金の対象講座なら費用の一部が戻る可能性 | 失業保険、職業訓練 |
| 退職後(働ける状態) | 失業保険をもらいながらの職業訓練/教育訓練給付金(退職から1年以内に受講開始)/求職者支援制度 | リスキリング支援事業(在職者向け) |
ここから、順に見ていきます。
在職中に使える3つの制度
1. 教育訓練給付金(受講料の一部が戻る)
国が指定した講座を受けて修了すると、払った受講料の一部がハローワークから戻ってくる制度です。働きながら使えます。
| 種類 | 戻ってくる割合 | 上限 | 講座の例 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20% | 10万円 | 簿記、TOEIC、FPなど |
| 特定一般教育訓練 | 40%(条件を満たすと50%) | 20万円(同25万円) | 介護職員初任者研修、大型免許など |
| 専門実践教育訓練 | 50%(条件を満たすと70%・80%) | 年40万円(同56万円・64万円) | 看護師、保育士、専門学校、大学院など |
使える人の目安
- 雇用保険に入っていた期間が、通算3年以上
- 初めて使う場合は、1年以上(専門実践教育訓練は2年以上)で使える
- 対象になるのは、国の指定を受けた講座だけ
自分が使えるかどうかは、ハローワークで事前に確認できます。専門実践教育訓練給付金の詳しい条件は、こちらにまとめています。

2. リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(在職者向け)
在職中で、今の会社とは別の会社への転職を目指している人が対象の、国の支援事業です。キャリア相談・講座の受講・転職支援を、まとめて受けられます。
- 講座の受講料の最大70%相当(上限56万円)が補助の対象
- キャリア相談と転職支援は無料
- すでに退職している人は対象外
「辞めてから使おう」ができない制度なので、使うなら在職中に動く必要があります。

3. 教育訓練休暇給付金(会社を辞めずに、休んで学ぶ)
2025年10月に始まった制度です。会社を辞めずに、30日以上の無給の休暇を取って学ぶ場合に、失業保険と同じ計算の給付を受けられます。
ただし、会社の就業規則にこの休暇の制度があることが条件です。まずは自分の会社に制度があるかを確認してください。

休職中・傷病手当金をもらっている人へ
体調を崩して休職している間は、「とにかく休むこと」がいちばんです。
そのうえで、会社から離れて少し落ち着いてくると、「このまま元の職場に戻るのか」を考える時間が出てきます。元の職場に戻らない道を選ぶために、休んでいる時間を準備に使うのは、前向きな選択の一つです。
使えない制度を先に知っておく
傷病手当金をもらっている間は、次の制度は使えません。
| 制度 | 使えない理由 |
|---|---|
| 失業保険(基本手当) | 「働ける状態で、仕事を探していること」が条件。傷病手当金とは同時に受けられない |
| 公共職業訓練 | ハローワークで仕事を探している人が対象 |
| 教育訓練支援給付金 | 失業の状態にある人が対象 |
そのため、この時期に学ぶなら、スクール・通信講座・独学など、自分で選んで学ぶ形になります。
勉強しても、傷病手当金は止まらない?
傷病手当金は、「病気やけがの療養のために、仕事に就けない」ときに支給されます。この「仕事に就けない」は、もともとの仕事ができるかどうかで判断されます。
勉強すること自体は「仕事」ではありません。ただし、「勉強していても支給に影響しない」とはっきり書かれた公的な文書は見当たらず、最終的に判断するのは、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)です。
次のような場合は、始める前に主治医と健康保険に確認しておくと安心です。
- 毎日、長い時間通学するタイプの講座
- 実習やインターンで、報酬が出るもの
- 学びながら、副業やアルバイトを始める場合
特に報酬をもらって働くことは、勉強とは別の話です。働ける状態だと判断されると、傷病手当金が止まることがあります。退職後に受け取っている場合は、一度止まると再開されないこともあるので、注意してください。
傷病手当金の条件は、こちらにまとめています。

働ける状態になったら
体調が戻って働ける状態になったら、失業保険に切り替えて、職業訓練を受ける道が開けます。病気で働けない間は、失業保険を受け取れる期間を延ばす手続きができます。

退職後に使える制度
すでに退職していて、働ける状態なら、次の制度が中心になります。
| 制度 | 中身 |
|---|---|
| 公共職業訓練 | 失業保険をもらいながら、原則無料で学べる |
| 求職者支援制度 | 失業保険をもらえない人が、月10万円の給付を受けながら学べる |
| 教育訓練給付金 | 退職から1年以内に受講を始めるのが原則。病気などで始められないときは、延長の手続きができる |

何を学ぶかの決め方
「おすすめの資格」を探す前に、次の3つを確認すると、遠回りを減らせます。
- やりたい仕事の求人に、その資格やスキルが書かれているか:求人票を5つ見て、何度も出てくるものが、本当に必要なものです
- 学ぶ時間をどのくらい取れるか:働きながらなら週に何時間か。無理のない期間で終わる講座を選びます
- 費用と、戻ってくるお金:給付金の対象講座かどうかで、負担が大きく変わります
資格がなくても応募できる仕事はたくさんあります。資格を取ること自体が目的にならないように、先に求人を見ておくのがおすすめです。
よくある質問

雇用保険に入っていた期間が1年未満です。使える制度はありますか?
教育訓練給付金は使えませんが、在職中ならリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業が選択肢になります。退職後なら、公共職業訓練や求職者支援制度があります。
休職中でも、在職者向けのリスキリング支援事業は使えますか?
公式サイトでは「登録時と初回の面談時に在職していること」が条件とされていますが、休職中の扱いは書かれていません。申し込む前に、利用したいスクール(補助事業者)に確認してください。
資格を取り終わってから辞めたほうがいいですか?
取り終わってからのほうが、収入が途切れないので安心です。ただし、体調を崩しているなら、資格より先に休むことを優先してください。休職という選択肢もあります(会社を辞める前に「休職」という選択肢)。
独学とスクール、どちらがいいですか?
費用を抑えたいなら独学、短い期間で身につけたい・一人だと続かないならスクールが向いています。スクールを選ぶ場合は、無料の相談で「給付金の対象になるか」「働きながら通えるか」を確認してから決めましょう。
学んでいることは、会社に伝えたほうがいいですか?
伝える義務はありません。ただし、教育訓練休暇給付金のように、会社の制度を使う場合は、会社への申し出が必要です。
まとめ
- 辞めたいと思ったら、すぐ辞める前に「次の仕事で使えるもの」を先に取りにいく選択肢がある
- 在職中:教育訓練給付金、リスキリング支援事業、教育訓練休暇給付金(会社に制度がある場合)
- 休職中(傷病手当金):失業保険・職業訓練は使えない。スクール・通信講座・独学で学ぶ。報酬が出るものは、主治医と健康保険に先に確認
- 退職後:失業保険をもらいながらの職業訓練。教育訓練給付金は、退職から1年以内に受講開始
- 何を学ぶかは、求人票に書かれているかから決める
次の仕事が見えてくると、「辞める」は逃げではなく、準備して選んだ一歩になります。
※本記事は2026年10月時点の一般的な情報です。給付金の条件・金額、傷病手当金の扱いは、個別の事情によって異なります。ハローワーク、加入している健康保険、主治医にご確認ください。

