年途中で会社を辞めたら税金が戻ってくる|退職後の確定申告と還付金の受け取り方
「退職したら確定申告が必要?」と聞かれると、面倒そうでつい後回しにしがちです。でも年の途中で退職した人の多くは、所得税を払いすぎています。
確定申告をすれば、その差額が還付金として口座に振り込まれます。退職が早い時期であるほど、戻ってくる金額は大きくなります。
一方で、所得税の還付に気を取られて見落とされがちな落とし穴もあります。住民税の一括請求です。退職後の家計計画に深く関わるため、あわせて解説します。
この記事は2026年6月時点の情報です。税制は毎年改正されることがあるため、最新情報は国税庁または税務署でご確認ください。
自分は確定申告すべき?チェックリスト

次の条件に当てはまれば、確定申告をすることで所得税の還付を受けられる可能性があります。
- 年の途中で退職し、その年のうちに再就職しなかった
- 退職した年に年末調整を受けていない
- 退職した年の給与収入がある(ゼロではない)
再就職先で年末調整を受けた場合は、原則として確定申告は不要です(ただし医療費控除など追加で受けたい場合は申告できます)。
確定申告をしなくていいケース:
- 退職後すぐに再就職し、新しい職場で年末調整を受けた
- その年の収入が給与のみで、年末調整済み(転職した年も含む)
なぜ年途中退職で税金が戻ってくるのか

毎月の給与から引かれる所得税(源泉徴収)は、「今の給与がこのまま1年間続く」と仮定して計算されています。
たとえば月収30万円なら「年収360万円の人」として税額を計算し、毎月徴収します。これが年末まで続けば年末調整で精算されますが、途中退職すると年末調整が行われません。
6月に退職した場合、実際の年収は180万円(6か月分)です。でも源泉徴収は「年収360万円の人」として徴収していたため、差額の税金を払いすぎていることになります。
この過払い分を取り戻すのが、確定申告による所得税の還付です。
いくら戻ってくる?退職時期別の目安
退職が早いほど、年間収入が少ないため還付額は大きくなります。
| 退職月 | 年間給与収入(月収30万の場合) | 還付の目安 |
|---|---|---|
| 3月末 | 約90万円 | 比較的大きい |
| 6月末 | 約180万円 | 中程度 |
| 9月末 | 約270万円 | やや少なめ |
| 12月末 | 約360万円 | 年末調整で精算済みのため少ない |
還付額は給与額・各種控除(社会保険料控除・基礎控除・医療費控除など)によって大きく変わります。「退職したから数万円は戻ってくるかも」と思って確定申告してみるのが確実です。
確定申告「必要なケース」と「不要なケース」

| 状況 | 確定申告 |
|---|---|
| 年途中退職、その年は再就職なし | 必要(還付のため) |
| 年途中退職、年内に再就職して年末調整済み | 原則不要(医療費控除等を追加したい場合は可) |
| 退職後に失業手当のみ受給 | 不要(失業手当は非課税) |
| 退職後にフリーランス・副業収入あり | 必要(事業所得として申告) |
| 退職金を受け取った | 「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出済みなら原則不要 |
失業手当(雇用保険の基本手当)は所得税が非課税です。確定申告で収入として申告する必要はなく、金額にかかわらず課税されません。
必要書類・準備するもの

| 書類 | 入手先 |
|---|---|
| 源泉徴収票 | 退職した会社(退職後1か月以内に発行義務あり) |
| マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類) | 手元にあるもの |
| 還付先の銀行口座情報(通帳・キャッシュカード) | 手元にあるもの |
| 生命保険料控除証明書 | 保険会社から郵送(10〜11月頃) |
| 医療費の領収書・明細 | 各医療機関(10万円超の場合に控除可) |
源泉徴収票が届かない場合は、退職した会社に連絡して発行を求めてください。会社が倒産している場合は、税務署に相談すれば対処方法を案内してもらえます。
申請の流れ

申告できる期間
- 還付申告(税金が戻るケース):翌年1月1日から5年以内
- 例:2026年中に退職した場合 → 2027年1月1日〜2031年12月31日
- 確定申告期間(2〜3月)を待たずに1月から申告できる
- 5年を過ぎると時効になり還付を受けられなくなるため注意
手順
- 源泉徴収票を受け取る(退職翌月以降に会社から発行)
- 確定申告書を作成する
- e-Tax(推奨):国税庁の確定申告書等作成コーナーでオンライン作成・送信。マイナンバーカードがあればスマホからでも完結
- 書面:税務署で用紙をもらって記入、郵送または持参
- 税務署に提出する(e-Tax送信 or 郵送 or 持参)
- 還付金が振り込まれる(申告から概ね1〜2か月後)
初めてでもe-Taxの作成ツールは案内に沿って入力するだけで申告書が完成します。源泉徴収票の数字を入力すれば還付額も自動計算されます。
退職後に見落とされがちな「住民税」の問題

所得税の還付に気を取られてうっかり見落としやすいのが、住民税の後払い請求です。
住民税は「前年の収入」に対して翌年に課税される
住民税は、前年1〜12月の収入をもとに計算され、翌年6月から翌々年5月にかけて支払います。在職中は毎月の給与から天引きされていたため意識しにくいのですが、退職すると仕組みが変わります。
退職後に起こること
- 退職月によって残りの住民税をまとめて請求される(最終給与から一括天引きか、自分で納付)
- 翌年6月に、退職した年の収入に基づく住民税の通知書が届く(普通徴収)
たとえば2026年6月に退職した場合、2027年6月頃に「2026年の収入に基づく住民税」の請求書が届きます。退職後に収入が減っているタイミングで数万円〜十数万円の請求が来るため、準備がないと家計を直撃します。
対処法
- 退職時点でどのくらいの住民税が来るか把握しておく(前職の給与明細・源泉徴収票をもとに概算できる)
- 住民税は一括払いまたは分割払いが選べる(分割の場合は6月・8月・10月・翌1月の4回)
- 失業手当の受給期間中も住民税の支払いは続くため、生活費とは別に確保しておくのが鉄則
よくある質問

確定申告しないと罰則はありますか?
還付申告(税金が戻るケース)は義務ではなく任意です。しない場合、ただ還付を受け損なうだけで罰則はありません。ただし5年を過ぎると時効で戻ってこなくなります。
失業手当は確定申告に含めますか?
含める必要はありません。失業手当(雇用保険の基本手当)は所得税が非課税のため、収入として申告しなくてよいです。
退職金も確定申告が必要ですか?
退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、退職金にかかる税金は会社が源泉徴収しているため、原則として確定申告は不要です。提出していない場合は申告が必要になることがあります。
e-Taxは難しいですか?
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」は画面の案内に従って入力するだけで申告書が完成します。源泉徴収票の内容を入力すれば還付額も自動計算されるため、手書きより簡単です。マイナンバーカードとスマホがあれば税務署に行かずに完結します。
医療費が多かった年も一緒に申告できますか?
できます。同じ確定申告で医療費控除を申請することで、さらに還付額が増える場合があります。1年間の医療費(交通費含む)が10万円を超えた場合(または所得の5%を超えた場合)に適用されます。
まとめ
- 年の途中で退職した場合、所得税を払いすぎている可能性が高い
- 確定申告(還付申告)をすれば、差額が口座に振り込まれる
- 退職が早い時期ほど還付額は大きくなる
- 還付申告は翌年1月1日から5年以内に申告できる(確定申告期間を待たなくてよい)
- 失業手当は非課税のため確定申告に含める必要はない
- 所得税還付とあわせて、住民税の翌年一括請求にも備えておくことが重要
- 書類は源泉徴収票・マイナンバーカード・銀行口座情報が基本
「どうせ面倒」と諦める前に、源泉徴収票を手元に置いてe-Taxで試算してみてください。思ったより簡単で、思ったより戻ってきます。
失業手当の仕組みについてはこちらで解説しています。

※本記事は2026年6月時点の一般的な情報です。税制は毎年改正されることがあります。正確な内容は国税庁ウェブサイトまたはお近くの税務署でご確認ください。
出典
