失業保険の受給中に就職が決まったら?申告の順番と手続き一覧
内定が出た——喜ばしいことですが、受給中の人にはやるべき手続きが発生します。
そして順番を間違えると、もらえたはずのお金を取りこぼすことがあります。とくに再就職手当は、申請しなければ支給されません。
この記事で、就職が決まってからの流れを順番に整理します。
この記事は2026年8月時点の一般的な情報です。手続きの詳細や必要書類はハローワークによって異なります。個別の手続きは管轄のハローワークにご確認ください。
まず「いつ・誰に」伝えるか

伝える先はハローワークです。
タイミング
就職日が決まったら、まず管轄のハローワークへ速やかに連絡してください。
通常は、就職日の前日(前日が閉庁日の場合は直前の開庁日)に来所し、就職の申告と最後の失業認定を受けます。
前日に来所できない場合も、自己判断で放置しないでください。 電話で連絡し、手続きの日程と提出方法を確認すれば、後日の手続きに応じてもらえることがあります。
「決まった」とはいつか
採用が決まり、入社日が固まった時点です。「面接に受かりそう」の段階ではありません。逆に、内定を受諾したのに黙っているのは避けてください。
なぜ早く伝えるのか
理由は2つあります。
- 申告が遅れると、不正受給の問題になります(不正受給はバレる?)
- 再就職手当の手続きは、就職前から始まります。案内を受けるためにも早い連絡が必要です
伝え方
- 認定日が近ければ、その日に窓口で申告
- 認定日まで日があるなら、電話で連絡して指示を受ける
「次の認定日でいいや」と待たないでください。就職日と認定日の関係で、必要な手続きが変わります。
申告しないとどうなるか
就職したのに手当を受け取り続けると、不正受給として扱われます。支給停止・返還に加え、返還額の最大2倍の納付を命じられることがあります。詳しくは失業手当の未申告は危険にまとめています。
就職日の前日までの分は受け取れる

よくある誤解ですが、就職が決まった瞬間に、それまでの分が消えるわけではありません。
基本の考え方
就職日の前日までの失業していた日については、認定を受けて基本手当を受け取れます。
そのため、就職日の前に最後の失業認定を受ける必要があります。この手続きの日程は、ハローワークから案内されます。
持ち物(一般的な例)
- 雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)
- 失業認定申告書
- 採用証明書(会社に記入してもらうもの。様式はハローワークで受け取ります)
採用証明書は早めに依頼する。ただし来所は延期しない
会社に記入してもらう書類なので、時間がかかります。内定が出た時点で様式を受け取り、すぐ会社に依頼してください。
ただし、間に合わないからといって来所自体を延期しないでください。後日提出できる場合があります。その際は、内定通知書や労働条件通知書など、就職日が分かる資料を用意し、ハローワークの指示を受けてください。
なお、再就職手当で会社に証明してもらうのは、通常「再就職手当支給申請書」の事業主証明欄です。採用証明書とは別の書類なので、混同しないでください。
認定対象期間の求職活動実績
最後の認定でも、原則として求職活動実績が必要になる場合があります。ただし、就職が決まったこと自体が実績として扱われることもあるため、窓口で確認してください(求職活動実績の作り方)。
再就職手当を忘れない

ここがいちばん大きい金額です。
早く再就職した人には、残っている給付日数に応じて再就職手当が支給されます。支給残日数によっては数十万円になることもあります。
要件(すべて満たす必要があります)
- 就職日の前日までの失業認定を受けた後の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上ある
- 1年を超えて勤務することが確実と認められる
- 待期満了後の就職である
- 離職理由による給付制限を受けた場合、待期満了後1か月間の就職は、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介による
- 離職前の事業主、または密接な関係のある関連事業主への再雇用ではない
- 就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当を受けていない
- 受給資格の決定・求職申込みより前から内定していた会社への就職ではない
- 原則として雇用保険の被保険者資格を取得する条件の雇用である
7番目は見落とされがちです。手続きに行く前にすでに内定していた場合は対象になりません。
計算方法や具体例は再就職手当の条件と計算にまとめました。
給付制限がある人は、就職の時期と経路に注意
離職理由による給付制限を受けている人が、待期満了後1か月以内に就職する場合、その就職はハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介による必要があります。
つまり、この期間にオンライン自主応募など、紹介を経ない方法で就職すると対象外になります。基準になるのは、原則として応募日ではなく就職日です(ハローワークの紹介状とは?)。
申請のタイミング
法令上の申請期間は、就職日の翌日から起算して1か月以内です。原則としてこの期間内に申請してください。
ただし、1か月を過ぎても直ちに権利が消滅するわけではありません。時効が完成するまでの2年間は申請できる場合があります。期限を過ぎてしまった人も諦めず、すぐハローワークに相談してください。
会社に記入してもらう書類があるため、早めに依頼しておくのが確実です。
支給は少し先になります
申請してすぐ振り込まれるわけではありません。ハローワークが在籍状況などを確認するため、1か月以上かかることもあります(再就職手当はいつ振り込まれる?)。
再就職後に賃金が下がった場合
前職より賃金が下がったときは、就業促進定着手当の対象になることがあります。再就職手当を受けた人が対象で、6か月間定着したあとに申請します(就業促進定着手当とは?)。
内定と入社日がずれる場合

「内定は出たが、入社は2か月先」——このケースは扱いに注意が必要です。
基本の考え方
- 就職日の前日までは、失業の状態であれば認定を受けられる可能性があります
- ただし、すでに就職先と入社日が確定している状態をどう扱うかは、個別に判断されます
必ず申告してください
「まだ入社していないから」と黙っているのは避けてください。内定が出て入社日が決まった時点で、その事実を申告します。そのうえで、入社日までの扱いを窓口で確認してください。
求職活動はどうするか
入社日が決まっている場合、求職活動実績の扱いも変わることがあります。自己判断で「もう活動しなくていい」と決めないでください。
内定が取り消された場合
入社前に内定が取り消された場合は、すぐハローワークに連絡してください。受給を再開できることがあります。この場合も、放置がいちばん不利になります。
短期・パートの仕事が決まった場合

「就職」と「アルバイト」の境目が分かりにくいのが、この領域です。
「就職」かどうかと、「再就職手当の対象」かどうかは別の判断です
ここを混同すると、申告漏れにつながります。
- 就職に当たるか:一般に、週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあるなど、雇用保険の被保険者となる条件の仕事は、アルバイトや契約社員でも「就職」として扱われることがあります。1年を超える契約でなくても同じです
- 再就職手当の対象か:そのうえで、1年を超えて引き続き雇用されることが確実と認められるなど、前章の要件をすべて満たす必要があります
つまり、「1年以下の契約だから就職ではない」という理解は誤りです。契約期間・更新の見込み・週の所定労働時間をハローワークに伝えて、判断を受けてください。
短期・一時的な就労であれば、就職ではなく働いた日として申告する扱いになることがあります。
いずれにしても、申告は必要です
短期でも、パートでも、働いた事実は必ず申告してください。申告した場合の扱いは、労働時間や収入によって減額・不支給・支給日の繰越しに分かれます(失業保険の受給中にアルバイトはできる?)。
判断は自分でしない
「これは就職にあたるのか、アルバイトなのか」を自分で決めないでください。契約内容(期間、労働時間、雇用保険に加入するか)を窓口に伝えて、判断を受けるのが正しい進め方です。
常用就職支度手当
再就職手当を受けられない人全般を対象とする制度ではありません。
受給資格者の場合、原則として支給残日数が所定給付日数の3分の1未満で、障害者など省令で定める就職困難者に該当し、ハローワーク等の紹介により1年を超えて雇用されることが確実な職業に就いた場合などが対象です。該当しそうなら、窓口で個別に確認してください。
受給が終わったあと
基本手当や再就職手当などの支給を受けると、その給付の基礎となった過去の被保険者期間は、将来の新しい受給資格の判定には原則として使われません。次に受給するには、新たに加入して要件を満たす必要があります(雇用保険の加入期間は通算できる?)。
なお、再就職手当を受けた後でも、従前の受給期間内に再び失業し、支給残日数があれば、基本手当を再開できる場合があります。就職先を早期に離職した場合は、諦めずに窓口へ相談してください。
よくある質問

就職が決まったら、いつ申告しますか?
決まった時点で速やかにハローワークへ連絡してください。通常は就職日の前日(閉庁日なら直前の開庁日)に来所して手続きします。前日に行けない場合も放置せず、電話で日程と方法を確認してください。
就職が決まったら、それまでの分はもらえなくなりますか?
なりません。就職日の前日までの失業していた日については、認定を受けて基本手当を受け取れます。就職前に最後の認定手続きがあります。
採用証明書はどこでもらいますか?
様式はハローワークで受け取り、会社に記入してもらいます。時間がかかるため早めに依頼してください。間に合わない場合も来所は延期せず、内定通知書など就職日が分かる資料を持参して指示を受けてください。
再就職手当はいつ申請しますか?
法令上の申請期間は、就職日の翌日から起算して1か月以内です。ただし、1か月を過ぎても、時効が完成するまでの2年間は申請できる場合があります。期限を過ぎた人も、すぐハローワークに相談してください。
短期のアルバイトが決まった場合も申告が必要ですか?
必要です。週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあるなど、雇用保険の被保険者となる条件であれば、アルバイトでも「就職」として扱われることがあります。就職に当たるかどうかと、再就職手当の対象かどうかは別の判断です。自己判断せず、契約内容を窓口に伝えてください。
内定が取り消されました。
すぐハローワークに連絡してください。受給を再開できることがあります。放置すると手続きが複雑になります。
まとめ
- 就職が決まったら、速やかにハローワークへ連絡。通常は就職日の前日(閉庁日なら直前の開庁日)に来所して手続きする
- 就職日の前日までの分は受け取れる。就職前に最後の認定手続きがある
- 採用証明書は早めに依頼。間に合わなくても来所は延期しない
- 再就職手当は申請しないともらえない。要件は8つすべてを満たす必要がある(残日数3分の1以上、1年超の雇用が確実、待期満了後、求職申込み前からの内定でない、関連事業主への再雇用でない、など)
- 申請期間は就職日の翌日から1か月以内。ただし時効までの2年間は申請できる場合がある
- 給付制限がある人が待期満了後1か月以内に就職する場合は、紹介による就職である必要がある
- 短期やパートでも申告は必須。「就職に当たるか」と「再就職手当の対象か」は別の判断。自分で決めない
内定の連絡が来たら、次にかける電話はハローワーク。この順番だけ覚えておいてください。
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。手続きの詳細・必要書類・各手当の要件はハローワークが個別に判断します。管轄のハローワークにご確認ください。

