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65歳以上で退職したら?高年齢求職者給付金のしくみと金額

masahiro

65歳以上で会社を辞めた場合、受け取れるのは失業保険(基本手当)ではありません。高年齢求職者給付金という、別の給付になります。

名前を知らないまま「もう年金があるから関係ない」と手続きをしない人がいますが、これはもったいない。高年齢求職者給付金には、基本手当にはない大きな利点があるからです。

この記事では、金額の決まり方、年金との関係、手続きの流れを整理します。

この記事は2026年8月時点の一般的な情報です。支給の可否や金額はハローワークが個別に判断します。年金との調整については日本年金機構・年金事務所にもご確認ください。

高年齢求職者給付金とは?基本手当との違い

高年齢求職者給付金とは

65歳以降も雇用保険に入って働いていた人(高年齢被保険者)が離職したときに受け取れる給付です。

基本手当との違いを整理すると、こうなります。

基本手当(65歳未満)高年齢求職者給付金(65歳以上)
支給の形4週間ごとに分割一時金(一括)
支給の量90〜360日分30日分または50日分
失業の認定原則4週間ごとに繰り返す原則1回
老齢年金との関係求職の申込みにより特別支給の老齢厚生年金が支給停止になるこの給付金を理由に支給停止にはならない
再受給加入期間を積み直す必要がある要件を満たせば繰り返し受給できる

日数だけを見ると見劣りしますが、「まとめて一括で受け取れる」「年金と一緒に受け取れる」「認定日通いが原則1回で済む」という点で、実務的な使い勝手はかなり良い制度です。

受け取るには、基本手当と同様に働く意思と能力があり、求職活動をしていることが前提になります。完全に引退するつもりであれば対象になりません。

いくらもらえる?30日分と50日分の分かれ目

高年齢求職者給付金の金額

原則として、支給されるのは基本手当日額の30日分または50日分です。

算定基礎期間(雇用保険の加入期間)支給日数
1年未満30日分
1年以上50日分

「長く勤めれば勤めるほど増える」わけではなく、1年を境に2段階というシンプルな設計です。

満額もらえないことがある点に注意

失業の認定日から受給期限までの残り日数が30日(または50日)に満たない場合、その残日数分しか支給されません。受け取れる期間は原則として離職日の翌日から1年なので、期限ぎりぎりに手続きすると、日数が削られます。一時金だからと後回しにしないでください。

金額の出し方

賃金日額 = 離職前6か月の賃金の合計 ÷ 180
高年齢求職者給付金の日額 = 賃金日額 × 給付率

給付率は賃金日額に応じて決まり、賃金日額が低い人ほど高い率になります。この点は基本手当と同じ考え方です(失業保険はいくらもらえる?)。

ただし上限額の扱いは注意が必要です。65歳以上で高年齢求職者給付金を受ける場合、厚生労働省の資料では「29歳以下」と同じ計算区分が適用されるとされています。2026年8月1日以降でいえば、日額の上限は7,450円。基本手当の「60〜64歳」の欄をそのまま当てはめると誤ります。金額は原則として毎年8月1日に改定されるため、最新の数値はハローワークで確認してください。

受給の要件

  • 離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算6か月以上あること
  • 求職の申込みをして、働く意思と能力があること

基本手当(原則2年間に12か月)より要件が緩いので、65歳以降に短期間だけ働いた人でも対象になりやすいのが特徴です。

年金と一緒に受け取れる

年金と一緒に受け取れる

ここが最大のポイントです。

65歳になるまでの特別支給の老齢厚生年金などを受けている人が、ハローワークで基本手当の求職申込みをすると、原則として申込み月の翌月から、受給が終わるまで年金が全額支給停止になります(実際に基本手当を受けなかった月がある場合などは、後日精算されることがあります)。受け取り始めてから止まるのではなく、申込みの時点で調整が始まる点に注意してください。

一方、高年齢求職者給付金は、老齢年金と併せて受け取れます。この給付金を受けること自体を理由に、老齢基礎年金・老齢厚生年金が支給停止になることはありません。

つまり、

年金を受け取りながら、高年齢求職者給付金も受け取れる

これが「手続きしないともったいない」と言われる理由です。金額は30日分または50日分なので決して小さくなく、しかも一括で入ります。

注意点

  • 働きながら年金を受け取る場合の調整(在職老齢年金)など、別の制度による調整は別途あり得ます。「年金が一切止まらない」という意味ではありません
  • 個別の年金への影響が不安な場合は、年金事務所にも確認してください。制度をまたぐ話なので、ハローワークだけでは分からないことがあります

手続きの流れ

高年齢求職者給付金の手続きの流れ

基本手当と似ていますが、認定が原則1回で終わるのが大きな違いです。

  1. 離職票を受け取る(会社から。届かない場合は離職票が届かないときの対処法)
  2. ハローワークで求職の申込みをし、受給資格の決定を受ける
  3. 待期(通算7日間の失業している日)
  4. 自己都合退職の場合は給付制限(2025年4月1日以降の離職は原則1か月。5年以内に3回以上の自己都合離職なら3か月)
  5. 失業の認定(原則1回)
  6. 一時金として振込

持ち物は基本手当の手続きと同様、離職票、本人確認書類、マイナンバーが分かるもの、写真、振込先口座の分かるものなどです。所によって異なるため、事前に確認してください。

いちばんの注意点は期限です。 受け取れる期間は、原則として離職日の翌日から1年。この期間を過ぎると受け取れません。一時金だからと後回しにすると、うっかり期限切れになります。

なお、この給付には受給期間の延長という仕組みがありません。病気などで手続きが遅れそうな場合は、早めにハローワークへ相談してください。

65歳の誕生日前後で変わること

65歳の誕生日前後で変わること

「65歳になる直前に辞めたほうが得らしい」という話を聞いたことがあるかもしれません。仕組みを正確に理解しておきましょう。

判定の基準は「離職日における満年齢」です。ここで見落とされがちなのが、年齢計算では誕生日の前日に満年齢に達するという決まりです。

  • 65歳の誕生日の前々日までに離職 → 原則として基本手当の対象(一般の受給資格者なら加入期間により90〜150日)
  • 65歳の誕生日の前日以後に離職 → 原則として高年齢求職者給付金(30日分または50日分)

「誕生日の前日ならまだ64歳」ではありません。 退職日が1日違うだけで制度が変わることがあるため、会社と退職日を決める前に必ずハローワークへ確認してください。

日数だけを比べれば、65歳前の離職のほうが多くなり得ます。ただし、単純に「早く辞めたほうが得」とは言い切れません。

  • 65歳前に基本手当の求職申込みをすると、特別支給の老齢厚生年金が原則として申込み月の翌月から支給停止になります
  • 働き続ければ、その間の給与収入や、厚生年金の加入期間が増えることによる将来の年金額にも影響します
  • 基本手当は4週間ごとの認定が必要で、受け取り切るまで時間がかかります

つまり、比べるべきは「給付日数」だけではなく、給付・年金・給与を合わせた総額と、その受け取り方です。

また、退職日は会社の定年や契約の定めに左右されるため、思いどおりに調整できるとは限りません。判断に迷う場合は、ハローワークと年金事務所の両方に相談してください。金額の比較は、必ず自分の数字で行うことが大切です。

よくある質問

よくある質問

年金をもらっていても申請できますか?

できます。この給付金を受けること自体を理由に老齢年金が支給停止になることはありません。ただし、在職老齢年金など別の制度による調整は別途あり得ます。

何度でも受け取れますか?

要件を満たせば繰り返し受給できます。65歳以降に再就職して雇用保険に加入し、また離職した場合、被保険者期間などの要件を満たしていれば再び対象になります。

完全に引退するつもりですが、もらえますか?

受け取るには、働く意思と能力があり、求職活動をしていることが前提です。就職する意思がない場合は対象になりません。

分割ではなく一括で振り込まれるのですか?

はい。認定を受けたあと、一時金としてまとめて振り込まれます。基本手当のように4週間ごとに受け取る形ではありません。

手続きが遅れると減りますか?

減ることがあります。失業の認定日から受給期限までの残り日数が30日(または50日)に満たない場合は、その残日数分しか支給されません。早めに手続きしてください。

パートやアルバイトでも対象になりますか?

雇用保険に加入していれば対象になり得ます。加入要件を満たしていたかどうかは、給与明細の雇用保険料の欄やハローワークの記録で確認してください。

自己都合で辞めた場合も給付制限がありますか?

あります。2025年4月1日以降の離職では原則1か月です。ただし、離職理由が正当な理由のある自己都合と認められた場合など、扱いが変わることがあります。

まとめ

  • 65歳以降に離職した人が受け取るのは、基本手当ではなく高年齢求職者給付金
  • 金額は原則として日額の30日分(算定基礎期間1年未満)または50日分(1年以上)の一時金。手続きが遅れると残日数分に減る
  • 受給要件は離職日以前1年間に被保険者期間6か月以上と、基本手当より緩い
  • 老齢年金と併せて受け取れるのが最大の利点(在職老齢年金など別の調整はあり得ます)
  • 失業の認定は原則1回。受け取れる期間は離職日の翌日から原則1年で、延長の仕組みはない
  • 制度の分かれ目は離職日の満年齢。年齢計算上、65歳の誕生日の前日に満65歳になる点に注意
  • 65歳前後の損得は給付日数だけでなく、年金・給与を含めた総額で比べる

「もう年金があるから」で終わらせず、まずはハローワークで加入記録を確認してみてください。

※本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。支給の可否・金額はハローワークが個別に判断します。年金との関係については年金事務所にもご確認ください。

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