雇用保険の主な加入条件は?週20時間・31日以上と、適用除外のケース
「パートでも雇用保険に入れるの?」「学生バイトは対象外?」「掛け持ちしているけど、どっちで入るの?」——加入条件は、意外と誤解されています。
結論から言えば、一般の労働者については2つの中心的な要件でほぼ決まります。ただし、適用除外や別の取扱いがある人もいます。そして重要なのは、加入は「選べるもの」ではなく、要件を満たせば会社に加入させる義務があるということです。
この記事で、条件と例外、そして「入っていなかった」ときの対処まで整理します。
この記事は2026年8月時点の一般的な情報です。加入の可否はハローワークが個別に判断します。詳細は管轄のハローワークにご確認ください。
中心となる2つの要件

一般の労働者については、原則として次の2つをどちらも満たす場合に加入します。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上引き続き雇用されることが見込まれること
ただし、昼間学生、季節的雇用、日雇労働者、役員などには適用除外や別の取扱いがあります(後述)。
「所定労働時間」とは
契約で決まっている労働時間のことです。実際に働いた時間(残業を含む実労働時間)ではありません。
- 契約上は週20時間未満でも、実際の勤務時間との乖離が常態化し、その乖離に合理的な理由がない場合は、勤務実績に基づいて判断されることがあります
- 逆に、契約は週20時間以上でも、たまたま忙しくて残業しただけでは判定に影響しません
判断に迷う場合は、雇用契約書やシフトの実態を持ってハローワークに相談してください。
「31日以上の雇用見込み」とは
- 契約に期間の定めがない
- 契約期間が31日以上ある
- 契約期間が31日未満でも、契約に更新規定があり、31日未満での雇止めが明示されていない
- 更新規定がなくても、同様の契約の労働者が31日以上雇用された実績がある
いずれかに当てはまれば要件を満たします。単に「更新されるかもしれない」という漠然とした可能性ではなく、客観的に31日以上の雇用が見込まれるかで判断されます。
雇用形態の呼び方では決まりません
正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣——呼び方ではなく、上の要件と適用除外の有無で決まります。「パートだから入れない」というのは誤解です。
加入は義務。選べるものではない

ここが最も重要な点です。
要件を満たす労働者を雇った場合、事業主には雇用保険の加入手続きを行う義務があります。
つまり、
- 「入りたくない」と言って外れることはできません
- 「うちは入れていない」という会社の説明も、要件を満たしていれば通りません
- 加入するかどうかは、本人と会社の合意で決めるものではありません
保険料の負担
雇用保険料は、労働者と事業主の双方が負担します(率は異なり、事業主のほうが多く負担します)。労働者の負担分は給与から控除されます。
加入しているかの確認方法
- 給与明細に「雇用保険料」の控除があるかを見る
- 雇用保険被保険者証が交付されているか(雇用保険被保険者証とは?)
- 分からなければ、ハローワークで加入記録を照会できます(在職中でも可能です)
給与から雇用保険料が引かれていれば、加入している可能性が高いといえます。逆に、要件を満たしているのに控除がない場合は、手続きが漏れている可能性があります。
学生・掛け持ち・高齢者の扱い

昼間学生は原則として対象外
昼間部に在学している学生は、原則として雇用保険の適用から除外されます。ただし、次のような場合は例外的に対象になり得ます。
- 卒業見込証明書があり、卒業前に適用事業に雇用され、卒業後も引き続き同じ事業に雇用される予定である
- 休学中である
- 事業主の命により、在職のまま大学院等に在学している
また、夜間・定時制課程の学生は、通常そもそも「昼間学生」の適用除外には当たりません。
「学生だから絶対に入れない」ではありません。自分がどれに当たるかは、ハローワークで確認してください。
掛け持ち(ダブルワーク)の場合
原則として、同時に複数の事業所で被保険者になることはできません。生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける一つの雇用関係についてのみ被保険者となります。
つまり、A社とB社で働いていて両方が要件を満たす場合、どちらが「主たる」雇用関係かを判断して1社で加入します。自由に選べるわけではなく、賃金額や労働時間などの実態から判断されるため、迷う場合はハローワークに確認してください。
65歳以上の人
65歳以上でも、要件を満たせば加入します(高年齢被保険者)。「もう年齢的に無理」ということはありません。
さらに、65歳以上にはマルチジョブホルダー制度があります。要件は次のとおりです。
- 65歳以上で、複数の事業所に雇用されている
- 申出に用いる2つの事業所の所定労働時間が、それぞれ週5時間以上20時間未満
- その2つの合計が週20時間以上
- 2つの事業所それぞれで31日以上の雇用見込みがある
- 本人が住所地を管轄するハローワークに申し出る
通常の加入と違い、本人が手続きする点が特徴です。また、資格取得日は原則として申出日で、申出前には遡りません。早めの手続きが大切です。
65歳以上で離職したときの給付は、基本手当ではなく別制度になります(65歳以上の高年齢求職者給付金)。
会社の役員
役員は原則として対象外です。ただし、役員でありながら労働者としての性格が強い場合など、個別に判断されることがあります。
加入していなかったときの対処

「要件を満たしていたのに、会社が手続きをしていなかった」——これは実際に起こります。
遡って加入できます
被保険者資格の確認は、原則として確認日から2年前まで遡れます。
さらに、給与明細や賃金台帳などで、雇用保険料の労働者負担分が給与から控除されていた事実を確認できる場合は、2年を超えて、その控除を確認できる最も古い時期まで遡及適用されることがあります。
だからこそ、給与明細は捨てないでください。本人の記憶や主張だけでは足りません。
なぜ重要か
加入期間は、失業保険を受け取るための被保険者期間に直結します。
- 一般の離職者:離職前2年間に通算12か月以上
- 特定受給資格者・特定理由離職者等と認定された場合:離職前1年間に通算6か月以上
数か月の差で、受給できるかどうかが変わることもあります(失業保険がもらえないケース)。
手続きの進め方
- 給与明細を集める(雇用保険料の控除があるか確認)
- 雇用契約書やシフト表など、労働時間が分かるものを用意する
- ハローワークに相談する(本人から相談できます)
会社と直接交渉する必要はありません。まずは窓口に事実を伝えてください。
今後、加入の範囲が広がります

雇用保険の適用範囲は、拡大される方向にあります。
2024年に成立した改正により、週の所定労働時間の要件を「20時間以上」から「10時間以上」に引き下げることが決まっています。施行は2028年10月の予定です。
これが実施されると、
- これまで対象外だった短時間のパート・アルバイトも加入対象になります
- 加入者が増えるぶん、失業したときに給付を受けられる人も増えます
- 一方で、保険料の負担も発生します
「週10時間だから関係ない」と思っている人も、将来的には対象になる可能性があるということです。
施行日や具体的な取扱いは今後の政省令などで詳細が定まるため、時期が近づいたら最新情報を確認してください。
なお、失業保険を受給しながら働く場合のルールは別の話です。混同しないよう、週20時間以内で働く方法も参照してください。
よくある質問

パートでも雇用保険に入れますか?
入れます。週の所定労働時間20時間以上、31日以上の雇用見込みという要件を満たし、適用除外に当たらなければ、雇用形態にかかわらず加入します。事業主には加入させる義務があります。
「うちは雇用保険に入れていない」と言われました。
要件を満たしていれば、会社の方針で外すことはできません。給与明細と雇用契約書を持って、ハローワークに相談してください。遡って加入が認められることがあります。
学生アルバイトは対象外ですか?
昼間学生は原則として適用除外です。ただし、卒業見込証明書があり卒業前に雇用され卒業後も引き続き働く場合や、休学中の場合などは例外的に対象になり得ます。夜間・定時制の学生は、通常そもそも昼間学生の適用除外に当たりません。窓口で確認してください。
2つの会社で働いています。両方で加入しますか?
原則として、主たる賃金を受ける一つの雇用関係についてのみ被保険者になります。ただし65歳以上には、それぞれ週5時間以上20時間未満で合計20時間以上などの要件を満たす場合に、本人の申出で加入できるマルチジョブホルダー制度があります。資格取得は原則として申出日からです。
何か月加入すれば失業保険をもらえますか?
一般の離職者は離職前2年間に通算12か月以上、特定受給資格者・特定理由離職者等と認定された場合は離職前1年間に通算6か月以上が目安です。前職の期間を通算できる場合もあります(雇用保険の加入期間は通算できる?)。
何歳まで加入できますか?
年齢の上限はありません。65歳以上も高年齢被保険者として加入します。ただし、離職したときの給付内容は65歳未満と異なります。
まとめ
- 一般の労働者の判定は①週の所定労働時間20時間以上 ②31日以上の雇用見込みが中心。ただし昼間学生・季節的雇用・日雇・役員などには別の取扱いがある
- 雇用形態の呼び方では決まらない。パート・アルバイトでも要件を満たせば加入する
- 加入は事業主の義務。本人の希望や会社の方針で外すことはできない
- 昼間学生は原則対象外だが例外あり(夜間・定時制は通常そもそも除外に当たらない)。掛け持ちは原則1社、65歳以上にはマルチジョブホルダー制度(それぞれ週5〜20時間未満・合計20時間以上・申出日から)がある
- 加入漏れは原則2年、保険料控除を確認できれば2年超まで遡れる。給与明細を残しておく
- 2028年10月に週10時間以上へ拡大される予定
「自分は対象外だろう」と思い込む前に、給与明細の雇用保険料の欄を確認してみてください。
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。加入の可否や遡及の範囲はハローワークが個別に判断します。今後の制度改正の詳細は、施行時期に最新情報をご確認ください。

