会社が倒産したら給料は?未払賃金立替払制度で国が最大80%を立て替えてくれる

masahiro

「会社が急に倒産して、先月の給料がまだ振り込まれていない」「退職金の約束があったのに、倒産で一切払われなかった」「連絡がつかなくなった会社に、未払い残業代が数か月分ある」

そんな状況でも、泣き寝入りしなくていい制度があります。未払賃金立替払制度です。

会社が倒産した場合、国(独立行政法人労働者健康安全機構)が未払い賃金・退職金の最大80%を立て替えて支払ってくれます。知らずに諦めている人が多い、見落とされがちな制度です。

この記事は2026年6月時点の情報です。要件・上限額は改正されることがあるため、最新・正確な内容は管轄の労働基準監督署または独立行政法人労働者健康安全機構でご確認ください。


自分は対象?30秒セルフチェック

次の項目が当てはまれば、制度を使える可能性があります。

  • 会社が倒産した(または実質的に倒産状態で事業停止中)
  • 倒産前にその会社で6か月以上働いていた
  • すでに退職している(在籍中は対象外)
  • 給料・退職金などが一部または全額未払いになっている
  • 倒産の確定(または労基署の認定)から2年以内

未払賃金立替払制度とは?

未払賃金立替払制度とは?会社倒産で給料が払われないときの救済制度

未払賃金立替払制度は、「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づく制度です。

会社が倒産すると、給料や退職金を受け取れなくなるリスクがあります。会社に資産がなければ、訴訟を起こしても回収できないことも珍しくありません。そこで、国が「立替払」という形で先に支払い、後から倒産した会社(の清算財産など)から回収する仕組みが設けられています。

立替払をするのは独立行政法人労働者健康安全機構(JOHAS)という厚生労働省所管の機関です。ハローワークではないため、窓口を間違えないよう注意してください。


立て替えてもらえる範囲

未払賃金立替払の対象範囲と上限額

対象になるのは次の2種類の未払いです。

種類対象期間
定期賃金(給料・残業代など)退職日の6か月前から退職日までに支払期日が来たもの
退職手当退職日前2年間に支払期日が来たもの

支給額は未払い額の80%。残り20%は残念ながら立て替え対象外です。

上限額(退職時の年齢で異なる)

退職時の年齢上限額
45歳以上370万円
30歳以上45歳未満220万円
30歳未満110万円

未払い額が多くても、上限を超えた分は対象外になります。

賞与(ボーナス)は対象外です。「定期賃金」に含まれるのは毎月の給料・残業代・各種手当などで、賞与は別扱いです。


申請できる条件

未払賃金立替払制度の申請条件

会社側の条件

法的倒産事実上の倒産のどちらかに該当することが必要です。また、倒産前に1年以上事業を継続していたことも条件になります。

法的倒産(裁判所が関与するケース)

  • 破産手続きの開始
  • 特別清算の開始
  • 民事再生手続きの開始
  • 会社更生手続きの開始

事実上の倒産(裁判所の手続きなしで事業停止したケース)

  • 1か月以上事業活動が停止し、再開の見込みがない状態
  • 労働基準監督署長による「事実上の倒産」の認定が必要

本人(労働者)側の条件

  • 倒産前に6か月以上その会社で勤務していた
  • 倒産時点またはその後に退職している
  • 倒産の確定・認定から2年以内に申請する
  • 経営者・役員は原則対象外(労働者性が認められれば別)

申請の流れ

未払賃金立替払制度の申請方法・手順

法的倒産の場合

  1. 裁判所が倒産手続きを開始する
  2. 破産管財人(弁護士)に未払い賃金の確認・証明書を発行してもらう
  3. 証明書をもとに独立行政法人労働者健康安全機構(JOHAS)に立替払を請求する
  4. 審査後、指定口座に振り込まれる

事実上の倒産の場合

  1. 管轄の労働基準監督署に「事実上の倒産」の認定を申請する
  2. 認定が下りたら、使用者(元の会社の代表者など)から未払い賃金の証明書を取り付ける(連絡がとれない場合は労基署に相談)
  3. JOHASに立替払を請求する

事実上の倒産の場合は認定の手続きがあるぶん時間がかかります。「会社が突然閉まって誰とも連絡が取れない」という状況なら、まず管轄の労働基準監督署に相談するのが最初の一手です。


もらえないケース・注意点

未払賃金立替払でもらえないケース・注意点
  • 在籍中(退職していない)は対象外
  • 会社の事業継続期間が1年未満の場合は対象外
  • 自分の勤続期間が6か月未満の場合は対象外
  • 倒産確定・認定から2年を超えた申請は受け付け不可
  • 賞与(ボーナス)は定期賃金に含まれないため対象外
  • 経営者・役員は原則対象外
  • 退職前6か月を超える定期賃金の未払いは対象外(6か月分が上限)

最も見落とされやすいのが「2年の期限」です。倒産の混乱でどこに相談すればいいかわからないまま時間が過ぎると、気づいたときには期限が切れていることがあります。会社が倒産したと分かった時点で、できるだけ早く動くことが重要です。


倒産退職なら失業手当も「有利な条件」で受け取れる

倒産退職なら失業手当も有利な条件で受け取れる

会社都合で退職することになった場合、「特定受給資格者」として失業手当(基本手当)の条件が有利になります。自己都合退職と違い、2か月の給付制限がなく、給付日数も長くなるため、未払い賃金の立替払と並行して申請するのが賢明です。

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よくある質問

よくある質問

会社が夜逃げして連絡がとれない場合でも使えますか?

使える可能性があります。裁判所を通じた法的倒産ではなく、「事実上の倒産」として労働基準監督署長の認定を受けるルートがあります。まず管轄の労働基準監督署に相談してください。

申請窓口はハローワークですか?

ハローワークではありません。最終的な請求先は独立行政法人労働者健康安全機構(JOHAS)です。ただし事実上の倒産の場合は労働基準監督署を通じる手順があります。

退職金も対象になりますか?

はい。退職日前2年間に支払期日が来た退職手当の未払い分も対象です(上限あり)。

立替払後に会社から賃金が払われたら?

立替払を受けた範囲で、機構が会社への債権を引き継ぎます(代位取得)。二重に受け取ることはできません。

上限に満たない未払い額でも申請できますか?

できます。未払い額の80%が支給されます。上限はあくまで支給額の天井で、少額でも対象になります。


まとめ

  • 未払賃金立替払制度は、会社倒産で給料・退職金が未払いになった労働者を救済する制度
  • 国(JOHAS)が未払い額の最大80%を立て替えて支払う
  • 対象は「退職前6か月分の定期賃金」と「退職前2年間の退職手当」(賞与は対象外)
  • 上限額は退職時の年齢で異なる(110万〜370万円)
  • 申請先はJOHASで、倒産確定・認定から2年以内に手続きが必要
  • 会社都合退職なら失業手当も特定受給資格者として有利な条件で受けられる

「会社が倒産したら給料は諦めるしかない」は誤解です。まず労働基準監督署かJOHASに相談してみましょう。

※本記事は2026年6月時点の一般的な情報です。要件・上限額・手続きは改正や個人の状況により異なります。正確な内容は、お住まいの管轄労働基準監督署または独立行政法人労働者健康安全機構でご確認ください。

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