専門実践教育訓練給付金とは?費用の最大70%が返ってくる資格取得支援を解説
「看護師・保育士・ITエンジニアの資格を取りたいけど、学費が高くて踏み出せない」「会社を辞めて専門スクールに通いたいが、生活費も心配」「雇用保険に何年も払っているのに、使えるサポートを知らない」
そんな人に知ってほしいのが、専門実践教育訓練給付金です。
対象の学校・コースを修了して資格を取得し就職すれば、学費の最大70%が戻ってきます。さらに、45歳未満の離職者には訓練中の生活費として別途給付金も出ます。
この記事は2026年6月時点の情報です。要件・支給率は改正されることがあるため、最新・正確な内容は管轄のハローワークでご確認ください。
自分は対象?30秒セルフチェック
- 雇用保険に2年以上加入していた(在職中または離職後1年以内)
- 国が指定した学校・コースをこれから受講する予定がある
- 資格取得・スキルアップでキャリアアップまたは転職・再就職を目指している
在職中でも離職後でも使える制度です。ただし離職後の場合は離職後1年以内(条件によっては最大4年)に受講を開始する必要があります。
教育訓練給付金には3種類ある

「教育訓練給付金」と一口に言っても、実は3種類あります。対象となる訓練の種類・支給率がそれぞれ異なります。
| 種類 | 支給率 | 年間上限 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 20% | 10万円 | TOEIC・簿記・FPなど汎用資格 |
| 特定一般教育訓練給付金 | 40% | 20万円 | 介護・ITパスポートなど即効性ある資格 |
| 専門実践教育訓練給付金 | 50〜70% | 56万円 | 看護師・保育士・大学院・専門学校など |
この記事で解説するのは3つ目の「専門実践教育訓練給付金」です。学費が高い分、補助も手厚い制度です。
もらえる金額

基本支給:費用の50%(年間上限40万円)
対象講座の受講費用の50%が、6か月ごとにまとめて支給されます。
- 年間上限:40万円
- 最長3年間受給できるため、最大120万円まで受け取れます
追加給付:さらに20%(年間上限16万円)
訓練を修了し、資格を取得した上で就職または継続雇用された場合、受講費用の追加20%が支給されます。
- 合計:費用の70%
- 年間上限:56万円(40万+16万)
- 3年間の最大受給額:168万円
「受講中に50%もらえる→修了して資格取得+就職でさらに20%」という2段階の仕組みです。
教育訓練支援給付金(45歳未満の離職者向け)
離職して専門実践教育訓練を受講している45歳未満の人には、訓練期間中の生活費として「教育訓練支援給付金」が別途支給されます。
- 支給額:基本手当の日額の80%(失業手当と同様の計算式)
- 失業手当の受給が終わった後も、訓練期間中は継続して受け取れる
「学費は給付金で補い、生活費は教育訓練支援給付金で」という二本柱の活用が可能です。この支援を知らずに諦めている人が少なくありません。
もらえる条件

雇用保険の加入期間
| 受給回数 | 必要な被保険者期間 |
|---|---|
| 初めての受給 | 2年以上 |
| 2回目以降 | 3年以上かつ前回受給から10年以上経過 |
在職中は現在の勤続期間、離職者は過去の雇用保険加入期間が対象です。複数の職場での加入期間は通算できます。
離職者の場合の追加条件
- 受講開始日が離職日の翌日から1年以内
- 妊娠・育児・病気・ケガ等の理由で受講が困難だった期間がある場合は、最大4年まで延長可能(ハローワークへの申し出が必要)
事前キャリアコンサルティングが必須
受講開始の1か月前までに、ハローワークで「受講のための訓練対応キャリアコンサルティング」を受ける必要があります。費用は無料ですが、省略できない手続きです。
「来月から通いたい」という場合でも、必ず1か月前にはハローワークへ行く必要があります。
対象となる講座・コースの種類

対象になるのは、厚生労働大臣が指定した講座のみです。主なカテゴリーは次のとおりです。
医療・福祉・保育系
- 看護師・准看護師
- 保育士
- 介護福祉士
- 社会福祉士・精神保健福祉士
IT・デジタル系
- 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)
- ITストラテジスト等の高度IT資格
- 第四次産業革命スキル習得講座(AI・IoT・クラウドなど)
その他専門職・教育
- 専門職大学・大学院、職業実践力育成プログラム(BP)
- 専門学校の職業実践専門課程(2年制が多い)
- 航空機操縦士(パイロット)
自分が狙っている資格・学校が対象かどうかは、ハローワークか厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で確認できます。
申請の流れ

- ハローワークへ相談(受講開始の1か月前までに)
- キャリアコンサルティングを受ける(必須・無料)
- ジョブ・カードの作成(キャリアコンサルタントに署名してもらう)
- ハローワークで支給申請(受講開始前)
- 受講開始
- 6か月ごとにハローワークで支給申請(在学証明書等を持参)
- 受講修了・資格取得
- 就職後1年以内に追加給付の申請(70%になる部分)
最重要ポイント:受講開始前の申請が必須です。通い始めてから申請しようとしても受け取れません。受講開始1か月前にはハローワークへ行く必要があります。
もらえないケース・注意点

- 雇用保険の加入期間が2年(初回)/3年(2回目以降)未満
- 受講前にハローワークで手続きをしていない(最多の失敗パターン)
- 厚労省が指定していない講座・コースを受講した
- 離職後1年超(延長措置がない場合)に受講開始した
- 前回の教育訓練給付受給から10年未満(2回目以降の場合)
- 訓練を途中で退学した(修了しないと追加20%は支給されない)
在職中に受講する場合は、仕事との両立が可能なスケジュールかどうかも確認が必要です。土日・夜間開講のコースも多いですが、フルタイム勤務との両立が難しい講座もあります。
よくある質問

在職中でも使えますか?
使えます。雇用保険の被保険者であれば、在職中でも受給できます。ただし、訓練の受講スケジュールと仕事が両立できるかどうかを事前に確認してください。
一度もらったらもう使えませんか?
初回受給から10年が経過し、その間に3年以上雇用保険に加入していれば再度受給できます。
途中でやめたら返金が必要ですか?
すでに支給された給付金の返還は基本的に求められません。ただし、受講を修了しないと「追加20%の給付」は受け取れません。
キャリアコンサルティングは何をするのですか?
自分のキャリアプランと受講する訓練が合っているかを確認する相談です。厚生労働省が認定したキャリアコンサルタントが対応します。費用は無料です。
職業訓練受講給付金(求職者支援制度)とは何が違いますか?
専門実践教育訓練給付金は雇用保険加入者向けの「学費補助」、職業訓練受講給付金は雇用保険の外にいる人向けの「生活費補助」です。対象者がまったく異なります。

まとめ
- 専門実践教育訓練給付金は、雇用保険加入2年以上の在職者・離職者が使える学費補助制度
- 対象講座の受講費用の50%(年間最大40万円)が返ってくる
- 資格取得+就職で追加20%(合計70%、年間最大56万円)に増える
- 45歳未満の離職者は「教育訓練支援給付金」で訓練中の生活費も補助される
- 受講開始1か月前までにハローワークでの手続き・キャリアコンサルティングが必須
- 対象講座かどうかは、事前に厚労省の検索システムかハローワークで確認
雇用保険に長く加入しているほど使える機会が広がる制度です。スキルアップや転職を考えているなら、まずはハローワークに相談してみましょう。
※本記事は2026年6月時点の一般的な情報です。要件・支給率・対象講座は変更されることがあります。正確な内容は、お住まいの管轄ハローワークでご確認ください。
出典
