退職時に返すもの・受け取るもの一覧|制服・貸与物と、保険はどうなる
退職日が近づくと、意外に慌てるのがモノの受け渡しです。「制服はクリーニングしてから?」「郵送でもいい?」「保険証って、いま返すんだっけ?」——細かいけれど、間違えると後で困ります。
とくに健康保険まわりは、この数年で扱いが大きく変わりました。従来の健康保険証は、いまは返却の対象ではありません。
この記事で、返すもの・受け取るものを一覧にして整理します。
この記事は2026年8月時点の一般的な情報です。返却の方法や期限は、会社の規程や加入している健康保険によって異なります。最終的には勤務先・保険者の指示に従ってください。
返すもの一覧

必ず返すもの
| 返却物 | 補足 |
|---|---|
| 有効期限内の資格確認書(本人・扶養家族分) | 交付を受けている場合。扶養家族の分も忘れずに |
| 社員証・IDカード・入館証 | セキュリティに直結するので優先度が高い |
| 名刺(自分の分・取引先から受け取った分) | 取引先の名刺は個人情報にあたるため、会社の指示に従う |
| 制服・作業着・安全靴 | クリーニングの要否は会社に確認 |
| 社用の携帯電話・パソコン・タブレット | データの扱いも確認する |
| 鍵・ロッカーの鍵・車のキー | |
| 通勤定期券(現物支給の場合) | 精算が必要なことがある |
| 書類・データ・USBメモリ | 業務資料は原則すべて返却 |
| 経費の精算に関わるもの | 領収書、法人カードなど |
会社によって扱いが分かれるもの
- 健康診断の結果:会社が保管する場合があります
- 業務で作成した資料の控え:持ち出し不可が原則です
- 書籍・研修資料:会社の備品なら返却
返却のタイミング
- 最終出勤日にまとめて返すのが基本
- 健康保険まわりは扱いが変わっているため、次の章で整理します
健康保険まわりは扱いが変わりました

ここは、数年前の情報がそのまま残っているサイトが多い部分です。2026年8月時点の扱いを整理します。
従来の健康保険証は、返却不要
従来型の健康保険証は、2025年12月2日以降は使用できなくなりました。これに伴い、2025年12月2日以降の退職では、健康保険証の返却は不要とされています。手元にある古い保険証は、自分で適切に廃棄してください(個人情報が記載されているため、細かく裁断するなど)。
返却が必要なのは「資格確認書」
マイナンバーカードを健康保険証として利用していない人などには、資格確認書が交付されています。有効期限内の資格確認書は、本人分・扶養家族分ともに勤務先へ返却します。
マイナンバーカードは返しません
マイナンバーカードは個人のものなので、返却の対象ではありません。ただし、カードを持っていることと、健康保険の資格があることは別です。
マイナ保険証は、カードに資格が固定的に記録されているのではなく、オンラインでその時点の資格情報を確認する仕組みです。退職すれば、旧勤務先の資格では確認できなくなります。
「資格情報のお知らせ」は通常、返却不要
資格情報を紙で確認するために交付されるものです。返却対象になるかは保険者によるため、案内を確認してください。
使えるのは「退職日まで」
退職日の翌日が、原則として旧勤務先の健康保険の資格喪失日です。
- 退職日当日まで:旧勤務先の資格で受診できます
- 退職日の翌日以降:旧勤務先の資格では受診できません
資格確認書に記載された有効期限が先の日付であっても、旧資格で使えるのは退職日までです。有給消化で最終出勤日と退職日がずれる場合、資格確認書を最終出勤日に返してしまうと、有給消化中に手元にない状態になります。受診の予定があるなら、郵送で退職日以降に返すなど、会社と段取りを相談してください。
旧資格で受診してしまったら
退職日の翌日以降に旧勤務先の資格で保険診療を受けると、保険者が負担した分の返還を求められることがあります。悪意がなくても同じです。気づいた時点で、加入していた健康保険組合や協会けんぽに連絡してください。
空白期間を作らないこと
退職後、転職先の健康保険・家族の被扶養者・任意継続のいずれにも該当しない場合は、原則として国民健康保険への加入手続きが必要です。「次が決まるまで無保険でいい」という選択はできません。
届出が遅れても、退職日の翌日までさかのぼって加入となり、保険料も遡って賦課されることがあります。早めに手続きしてください(任意継続と国保どっちが安い?)。
新しい資格がマイナ保険証に反映されていないときは、加入先の保険者や勤務先に確認してください。
扶養家族の分も忘れずに
家族を扶養に入れていた場合、家族全員分の資格確認書が返却の対象になります。返し忘れが最も多いのがここです。
保険者によって案内が異なります
健康保険組合ごとに扱いが違うことがあります。勤務先または保険者の案内を優先してください。
受け取るもの一覧

返すことばかり気にして、受け取り忘れる人が多くいます。こちらのほうが、後の手続きに直結します。
| 受け取るもの | 何に使うか | 補足 |
|---|---|---|
| 雇用保険被保険者証 | 転職先に提出 | 本人が保管している場合もあります(雇用保険被保険者証とは?) |
| 離職票-1・離職票-2 | 失業保険の手続き | 交付を希望しない場合は手続きが省略されることがあります(59歳以上は原則省略できません)。希望する旨を伝えてください(離職票とは?) |
| 給与所得の源泉徴収票 | 年末調整・確定申告 | 中途退職の場合、原則として退職日から1か月以内に交付されます |
| 基礎年金番号通知書(年金手帳) | 会社が預かっている場合 | 年金手帳は2022年4月に新規発行が廃止され、現在は基礎年金番号通知書が中心です |
| 健康保険資格喪失証明書 | 国民健康保険への加入手続きなど | 必要な場合に請求します。自動で交付されるとは限りません |
| 退職証明書 | 必要な場合に請求 | 請求すれば会社に交付義務があります(退職証明書とは?) |
受け取りのタイミング
- 最終出勤日に渡されるもの:雇用保険被保険者証、基礎年金番号通知書など(会社が預かっている場合)
- 退職後に郵送されるもの:離職票、給与所得の源泉徴収票
なお、退職金が支給された場合は、給与所得の源泉徴収票とは別に「退職所得の源泉徴収票」が交付されます。
離職票は待ちの姿勢にならない
離職票は、会社がハローワークに手続きをしてから発行されます。退職日から2週間程度で届くのが目安ですが、遅れることもあります。
なお、離職者が交付を希望しない場合、会社の手続きが省略されることがあります(59歳以上は原則省略できません)。すぐ転職する予定でも、「離職票を発行してほしい」と明確に伝えておくのが安全です。届かない場合の対処は離職票が届かないときの対処法にまとめています。
退職後の手続き全体は退職したらやること完全ガイドを参照してください。
郵送で返すときの送り方

体調不良、遠方、退職代行の利用など、直接渡せない場面はあります。郵送で問題ありません。
送り方の基本
- 事前に連絡する(可能なら。誰宛てに送るかを確認)
- 追跡できる方法で送る(簡易書留、レターパックなど)
- 送付状を同封する
- 発送の記録を残す(追跡番号、控えの写真)
追跡できる方法を選ぶ理由
「返却物が届いていない」と言われたときに、送った証拠がないと反論できません。普通郵便は避けてください。
送付状の文例
株式会社◯◯
人事部 ◯◯様
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたびは在職中大変お世話になり、ありがとうございました。
つきましては、下記の貸与品を返却いたします。
ご査収のほどよろしくお願いいたします。
記
・資格確認書 1枚(本人分)
・資格確認書 1枚(扶養家族分)
・社員証 1枚
・制服 一式
以上
なお、離職票および源泉徴収票につきましては、
発行後、下記住所へご郵送いただけますと幸いです。
〒◯◯◯-◯◯◯◯
◯◯県◯◯市◯◯ ◯-◯-◯
氏名 ◯◯ ◯◯
電話 ◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯
敬具
ポイントは最後の2行です。 返却と同時に、受け取りたい書類と送り先を明記しておくと、その後のやり取りが1往復減ります。
資格確認書を郵送するときの注意
資格確認書は個人情報を含みます。追跡できる方法で、封筒の外から見えないようにして送ってください。
制服のクリーニング
「クリーニングしてから返す」という慣行の会社もあれば、不要な会社もあります。規程を確認し、分からなければ聞いてください。自己判断で費用をかける必要はありません。
返し忘れ・返してもらえないとき

自分が返し忘れた場合
気づいた時点で、すぐ連絡して郵送してください。放置すると、
- 会社から連絡が来続ける
- 離職票などの発行が遅れることがある
- 悪質と判断されれば、損害賠償の主張につながり得る
返却物が残っているだけであれば、淡々と送れば済む話です。気まずさから放置するのが、いちばん状況を悪くします。
会社が書類をくれない場合
こちらのほうが深刻です。
- 離職票:ハローワークに相談すれば、会社への督促や仮手続きの案内を受けられます
- 給与所得の源泉徴収票:中途退職の場合、原則として退職日から1か月以内に交付されます。過ぎても交付されない場合は税務署に相談し、「源泉徴収票不交付の届出書」を提出できます(源泉徴収票がもらえないときの対処法)
- 退職証明書:労働者が請求した事項について、会社は遅滞なく交付する義務があります。相談先は労働基準監督署です
「返却物を返さないと書類を出さない」と言われたら
貸与品の未返却があっても、会社が法令上の交付義務を負う書類を、それを理由に一律に留保できるわけではありません。ただし、書類ごとに交付の要件と相談先が異なります。
| 書類 | 相談先 |
|---|---|
| 離職票 | ハローワーク |
| 給与所得の源泉徴収票 | 税務署 |
| 請求した退職証明書 | 労働基準監督署 |
貸与品は貸与品として、速やかに返却したうえで相談してください。
退職代行を使う場合
返却物は郵送、書類は郵送で受け取り、という形で完結できます。送付状に受け取りたい書類を明記しておけば、会社と直接話す必要はありません(退職代行の使い方・流れ)。
よくある質問

健康保険証は返すのですか?
従来の健康保険証は2025年12月2日以降使用できなくなり、返却も不要とされています。手元にあるものは自分で適切に廃棄してください。返却が必要なのは、有効期限内の資格確認書です。
退職日の翌日に、旧勤務先の資格で受診してしまいました。
保険者が負担した分を後から返還請求されることがあります。気づいた時点で、加入していた健康保険組合や協会けんぽに連絡してください。
制服はクリーニングして返すべきですか?
会社の規程によります。不要な場合もあるため、確認してから判断してください。自己判断で費用をかける必要はありません。
貸与物を紛失してしまいました。
まず会社に申告してください。弁償を求められることがありますが、金額や負担の範囲は個別の事情で判断されます。黙っているほうが問題が大きくなります。
郵送で返す場合、普通郵便でもいいですか?
おすすめしません。「届いていない」と言われたときに証明できないため、追跡できる方法を使ってください。
返却物を返さないと離職票を出さないと言われました。
返却は速やかに済ませてください。そのうえで離職票が交付されない場合は、ハローワークに相談すれば会社への督促などの対応を受けられます。源泉徴収票なら税務署、請求した退職証明書なら労働基準監督署が相談先です。
まとめ
- 返すものは有効期限内の資格確認書・社員証・名刺・制服・社用端末・鍵・書類など。扶養家族の分を忘れやすい
- 従来の健康保険証は2025年12月2日以降使用できず、返却も不要。自分で適切に廃棄する
- マイナンバーカードは返さない。ただし旧勤務先の資格で受診できるのは退職日まで
- 退職後は転職先・被扶養者・任意継続のいずれでもなければ国民健康保険への加入が必要
- 受け取るものは雇用保険被保険者証・離職票・源泉徴収票・年金手帳・資格喪失証明書。離職票は「希望する」と伝える
- 郵送は追跡できる方法+送付状。送付状に受け取りたい書類と送り先を書いておくとやり取りが減る
- 返し忘れは気づいた時点で送る。放置がいちばん悪化させる
- 未返却を理由に、交付義務のある書類を一律に留保することはできない。相談先は書類ごとに違う(離職票→ハローワーク、源泉徴収票→税務署、退職証明書→労働基準監督署)
モノの受け渡しは、退職手続きの中でいちばん単純な部分です。リストにして、一度で終わらせてください。
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。返却の方法や期限は会社の規程により異なります。書類が交付されない場合は、管轄のハローワーク・税務署等にご相談ください。

